テンナンショウ属の果実消費の論文 [論文]
小林禧樹, 北村俊平, & 邑田仁. (in press) 日本産テンナンショウ属(サトイモ科)の果実熟期の分化と種子散布:季節で異なる果実食鳥類とその果実持ち去り率・速度. 植物研究雑誌
兵庫にいた頃に筆頭著者の方から何度か相談を受けていたテンナンショウ属の果実消費者を自動撮影法により調査した研究です。関東地方ですでに自動撮影法によりテンナンショウ属3種の果実消費者は明らかにされていますが、より幅広い分類群を対象とした自動撮影法から、夏に熟すテンナンショウ属と秋以降に熟すテンナンショウ属では、果実の消失速度が随分と違うことが示されています。
私は秋以降に熟すテンナンショウ属しか見たことがないのですが、夏に熟すテンナンショウ属はヒヨドリがほとんど食べてしまうようです。さて、卒論でまとめてもらったカントウマムシグサのデータもどうするか検討しなければ。
花粉媒介と種子散布の総説 [論文]
特集1:鳥類がもたらす生態系サービス
序文 鳥類がもたらす生態系サービス
風間 健太郎, 日野 輝明 p.1-2
総説 鳥類がもたらす生態系サービス:概説
風間 健太郎 p.3-23
総説 鳥類による生態系サービス:特に花粉媒介と種子散布に着目して
北村 俊平 p.25-37
原著論文 日本に飛来する夏鳥の渡りおよび繁殖時期の長期変化
出口 智広, 吉安 京子, 尾崎 清明, 佐藤 文男, 茂田 良光, 米田 重玄, 仲村 昇, 富田 直樹, 千田 万里子, 広居 忠量 p.39-51
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjo/-char/ja/
PDFが必要な方はメールで連絡してください。
タイの小型のネコ類の現状 [論文]
Tantipisanuh, N., Chutipong, W., Ngoprasert, D., Lynam, A. J., Steinmetz, R., Sukmasuang, R., Jenks, K. E., Grassman, Jr. L. I., Cutter, P., Kitamura, S., Baker, M. C., McShea, W., Bhumpakphan, N., Gale, G. A., & Reed, D. H. (2014) Recent distribution records, threats and conservation priorities of small cats in Thailand. CATnews SI8:36-44.
PDFファイルは以下のサイトからダウンロードできます。東南アジアのPanthera属以外のネコ科特集の一部として出版されました。
http://www.catsg.org/catnews/20_cat-news-website/home/index_en.htm
ハラバラの自動撮影データを提供したもので、このチームとしては5報目。先日、コメントを返却した6報目はSmall Carnivore Conservationに投稿予定だそうな。自動撮影データは、多少、カメラの機種が違っていたとしても、適切な設置方法がとられていればデータ共有が行いやすい点はよい。
フェノロジー研究48号 目次 [論文]
P01. 結実フェノロジーと動物散布―主に森林改変との関わりに注目して―(直江将司)
P06. ミズキの果実採食鳥と種子散布距離の季節変動(山崎良啓)
P12. エノキ属2樹種における種子食鳥イカルによる散布前種子捕食―年変動と樹種による違い―(吉川徹朗)
P19. 冷温帯林における果実11 種の結実量の季節的・年次的な変動とツキノワグマの採食行動(中島亜美)
P23. 日本における食肉目の果実食の実態と結実フェノロジーとの関係(小池伸介)
P30. 若人たちの種子散布研究―5年という歳月で育ったもの―(正木 隆)
P36. 群集レベルで植物と動物散布者の相互作用系を捉えることの意義(高橋明子・阿部晴恵)
P43. 日本における動物による種子散布に関する研究の現状と課題―FSD2010 から FSD2015へ―(北村俊平)
P55. 西アフリカガボン共和国、ムカラバドゥドゥ国立公園のフェノロジーと動物散布(寺川眞理)
購入希望は千葉県立中央博物館の大野啓一さんまで。
あと一週間 [論文]
Kitamura, S., Thong-Aree, S., Madsri, S., & Poonswad, P. (2010) Mammal diversity and conservation in a small isolated forest of southern Thailand. Raffles Bulletin of the Zoology 58:145-156.
PDFファイルは、雑誌サイトからダウンロードできます。
http://rmbr.nus.edu.sg/rbz/journal581.php
撮影された動物:セイランArgusianus argus
動物学の雑誌に論文が掲載されるのは初めて。内容も完全に哺乳類動物相に関係した論文だから、動物学かな。原稿を仕上げたのは2008年の6月だけど、Biodiversity and ConservationとBiotropicaには記載的色合いが強いと即、エディターリジェクト。いや、私がレフリーでもそういった判断をしただろうなあ。
Raffles Bulletin of Zoologyに投稿してからも受理されるまでにかなり時間がかかった。PDFファイルが無料公開されているので、そのうちキーワード検索でヒットするようになるだろう。ようやくハラ・バラの調査地情報を簡単に引用する論文ができたので、次はネズミの論文にフェノロジー情報を放り込めるとよいのだけど。
2月中に見直すはずだった総説原稿には全く手がだせなかったので、来月こそしっかりと進めたい。さて、来週の出走まで残り1週間。
ようやく戻ってきた [論文]
で、さっそく査読コメントを読んでみた。論文の構成を大幅に修正する必要はないけど、細かいところをいくつか修正する必要はありそう。あまり反論する余地はなさそうなところが多いので、基本的にはレフリーコメントに従うつもり。ただ、短報には要旨やキーワードは必要ないとかコメントを書いてあるのだけど、投稿規程には要旨は100語で書いて、キーワードは5つまでと書いてあるのだけど?編集長は何もコメントしていないし、どっちですか・・・。
引用文献の並べ方が違うとかコメントされても投稿規程には全く書いてない情報だからなあ。一応、最新号で確認したつもりだったけど、気が付きませでした。引用文献のページ数はハイフンでつなぐのではないのですね。最後に一括置換することにしよう。
四捨五入する関係で表のデータを集計すると100.1%になるのだけど、この辺は表のところに書いておくか、小数点以下を切り捨ててしまった方がわかりやすいか。来週中にさっさと修正してしまおう。
3ヶ月遅れで… [論文]
Journal of Ecologyの最新号は種子散布の特集が組まれている。フリーアクセスなのはありがたいけど、Plant dispersal across multiple scales: Linking models and realityなる特集だから、読んでどのくらい理解できるのかちょっと怪しい。こんな風に数理モデルも組むことができるといろいろと新しい見方ができるのだろうけど、なかなか私のデータでは使えないだろうなあ。
今週は木曜日に出かけるダーウィンセミナーの準備が終わったら、熱帯生態学会の発表の準備。来週の査読と学会参加報告はささっと書き上げてしまいたい。
Prunus serotina文献 [論文]
昨日からAlissa PackerさんのPrunus serotinaに関連した研究をまとめて読んでいる。北アメリカでは普通種のPrunus serotinaの更新動態、その実生の病原菌(Pythium spp.)との関係を植替え実験や薬剤散布実験などでクリアーに示している。2000年のNatureに掲載された論文を読んだ時に、衝撃を受けたことを良く覚えている。他にもEcology、Proc. R. Soc. Lond.、Ecology Letterといった一流誌に論文が掲載されている。畑の連作障害のようにだんだんと病原菌が土壌中に蓄積するらしい。この植物、ヨーロッパでは侵入種として問題になっているらしく、主に鳥類によって種子散布されて、急激に分布を拡大している。それだけよく定着しているということは、ヨーロッパでは病原菌フリーな状況が多いのだろうか?
Springerに続いて、Elsevierもインターフェイスを変えたらしい。自分のホームページから頻繁にアクセスする雑誌へのリンクを新しいものに更新する。見やすくなったかどうかは微妙なところ。
午後になって、長崎県に修理に出していた自動撮影装置が戻ってきた。結局、6台のうち1台は修理不可能だったのだけど、現在は全くカメラの予備がない状態だったので、5台が使えるようになったのはありがたい。センサー異常をおこしていた2台は、センサーを丸ごと交換したらしく、バージョンアップして戻ってきた。これから雨季で使用条件はかなり過酷だけど頑張ってもらいましょう。荷物が増えたけど、こればっかりは持っていかないと仕方がないので、スーツケースに詰めねば。
フェノロジー [論文]
午前中に共著論文の原稿がメールで送られてきた。この論文も0稿を読んでからかなり時間が経過したけど、そろそろ投稿できそうな感じ。群集レベルのフェノロジー調査で、カオヤイがある東南アジアの熱帯季節林ではこういったフェノロジーの研究例が全くなく、基礎データとしての価値は高い。ただ、植物の繁殖フェノロジーだけの論文って、最近はBiotropicaやJournal of Tropical Ecologyレベルの雑誌でもなかなか掲載されにくいからなあ。調査期間は必要最低限の3年間は確保しているし、調査個体数は1,600個体とまあまあなので、どうにかなると思っているのだけど。今週中にコメントを書いて送るので、来週中には投稿して頂戴。
しかし、自分が書いている論文もさっさとすすめなければ。今週、この半年で発表された論文で関連していそうなものにはざっと目を通して、イントロの構成がだんだんと固まってはきたけど、ちと饒舌な感じ。私が書く論文は記載的な内容も多いこともあるけど、レフリーや編集長から長すぎるとコメントをつけられることが多いので、スリムな論文を書くことは常に意識するようにしているのだけど、ついついいらないことまで書いてしまっている。
公募情報をいくつかプリントアウト。来年度4月からの公募が出る頃だから、準備もしておかねば。
多様度指数 [論文]
今日は一日、さまざまな論文で使用されている多様度指数で頭を悩ます。熱帯林という非常に多様な環境で調査をしているけど、こういった多様度指数の議論をしている論文を読んだことがなかったので、ちとお勉強。現在進行中の論文のような熱帯林の樹木のインベントリー絡みで使われている多様度指数は、Fisher index (α)、Shannon-Wiener index (H')、Simpson index (D)などが良く使われているらしいが、人によりさまざま。一番良く使われているShannon-Wiener Indexはあまり良くないとかもいう論文も見つかる。そういえば、以前、生物科学の多様性特集号にもそんな記事があったか。
個人的にはこういった指数化されたものを見ても、全く森のイメージがわかないので、シンプルな個体数やDBHサイズの表やヒストグラムの方が論文として提示するなら、わかりやすいと思うのだけど?Importance Value Indexなども生物学的な意味がよくわからないので、使う理由がぴんとこない。
今夜はオフィスのベランダから花火見物の予定。オフィスは最上階で、しかも花火会場まではさえぎるものが全くないので、絶好の場所らしい。隣の病院は屋上にカメラマンと思しき人が既に陣取っている。