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ノブドウの果実に関する大事そうな文献メモ [日常]

石沢進(1990)ノブドウ毒性の有無. 新潟県植物保護 7:20.
・ノブドウに毒があるかどうか、複数の図鑑の記載内容を確認している。自分でなめてみたが、味もなく、おいしさを感じなかった。大量に食べていないので、毒性は不明。知人へのインタビューなども含めて、毒はなさそうだが、牧野図鑑の記載にあるように「敢テ食ニ中ラズ」と伝えるのが妥当と書かれている。

Yoshitama et al. (1992) Effect of anthocyanin, flavonol co-pigmentation and pH on the color of the berries of Ampelopsis brevipedunculata. Journal of Plant Physiology 139(5):513-518.
・メインの結果はノブドウ果実の成熟時の色彩変化(赤紫から青)は、アントシアニンとフラボノールのコピグメンテーションと組織のpHの増加によって生じる。
・イントロでノブドウ果実の成熟にともなう色彩変化として、緑、赤紫、紫、空色、最終的には白(fadedと記載)に変化するとの記載がある。
・個々の果実の成熟度合いは異なるので、同時期に同一のクラスター内にさまざまな色の果実が見られる。
・熊本大学キャンパス内の1個体のノブドウを対象として、10月から11月に繰り返し果実を採集している。
・果実の成熟度合いを5段階に区別しており、ステージ1:緑色で固い(hard)、ステージ2:暗赤色でまだ固い(still hard)、ステージ3:紫または青紫(ここだけ果実の固さに関する記載がない)、ステージ4:青または空色で少し柔らかい(slightly soft)、ステージ5:白(本文はfaded)でかなり柔らかい(appreciably soft)。
・ステージ1からステージ5まで2週間かかる。

Witty et al. (2010) Ampelopsis brevipedunculata berries are simultaneously attractive to birds and repulsive to mammals. International Journal of Botany 6(1):35-40.
・アメリカのニュージャージーで外来種として広がっている。
・成熟果実として、紫色の果実の写真をあげているけど、Yoshitama et al. (1992)の記載内容から判断すると、成熟一歩手前ではないだろうか?ただ、白っぽい紫で、果実サイズも大きめなので、すでに柔らかくはなっているように見える。
・中果皮の異形細胞内にシュウ酸カルシウムのラファイドが含まれていることから、採食時に果実をつぶす哺乳類ではなく、丸呑みする鳥類が種子散布者である可能性を指摘。

Nagasaki (2021) Functional specialization for pollination by scoliid wasps and solitary bees of Ampelopsis glandulosa (Vitaceae). Flora 284 (2021) 151921.
・兵庫県でノブドウの訪花昆虫を調べている。
・イントロでノブドウの学名としてAmpelopsis brevipedunculataがよく使われているが、これはA.glandulosaのシノニムであることを述べている。北米では、外来種として問題になっていることもイントロで紹介されている。
https://doi.org/10.1016/j.flora.2021.151921
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