SSブログ

すっかり花が咲いた [日常]

さすがにもう雪が降ることはないだろうとタイヤ交換。ちょっと調子が悪いところもチェック。調査に出かけると泥はねが多いので、もうちょっと頻繁に洗車したいけど、明日は雨のようなので今日はやめておく。その後は冬眠中のイシガメの引越し作業。久しぶりに見たけど、元気そう。空腹かもしれないと思って、庭でミミズを採集して、放り込むと早速食いついていた。かれこれ20年近く飼育しているけど、毎年元気に冬眠から覚めてくるようで何より。

畑のチンゲンサイやミズナがすっかり開花してしまった。講義で野菜の写真を使うこともあるので、撮影しておく。1個体だけだけど、ホソヒラタアブの仲間がチンゲンサイに訪花していた。

IMGP1015.jpg
立派に育ったキャベツ

IMGP1018.jpg

IMGP1019.jpg

IMGP1022.jpg
チンゲンサイの花

IMGP1016.jpg

IMGP1017.jpg
ミズナの花

夕方、石川県立自然史資料館研究報告に投稿していた論文が公表されたとの連絡が届く。3つともこちらの職場に来た年に担当した3名の卒業研究に加筆修正したもの。地元に就職したとはいえ、大学周辺で調査地として使える場所やどの程度、野外調査ができるのかなど、地元のさまざまな研究者にご協力していただきながらの一年目でしたが、3人の成果をどうにか公表することができた。いずれも石川県内の自然史情報に関連するデータを含んでいるので、投稿先としてもちょうどよかったのではないかな。

 遠藤拓・北村俊平*. (2014) 自動撮影カメラによる石川県林業試験場内の中・大型哺乳類相の調査. 石川県立自然史資料館研究報告 4:23-36.

 大須賀さや・北村俊平*. (2014) 止まり木でスギ人工林への鳥類による種子散布は増加するのか? 石川県立自然史資料館研究報告 4:37-44.

 由利萌・北村俊平*. (2014) 石川県立大学キャンパスにおけるキク科アキノノゲシとセイタカアワダチソウの訪花昆虫の多様性. 石川県立自然史資料館研究報告 4:45-53.

PDFファイルをご希望の方は、わたしまでメールで連絡してください。

査読誌に投稿するまでのデータを集めることはできなかったけど、調査地の選定、調査の立案、定期的なデータ収集、解析、論文、発表と一通りのプロセスを学生と一緒に取り組むことができたのではないかと思う。種子散布のようなテーマだと卒論や修士論文に意外と貴重なデータが眠っているの可能性があるので、何らかの形で公表しようよ!と発言しているので、今後の学生たちとの仕事もスムーズに公表していきたい。卒業研究ではなかなか国際誌を狙えるようなデータは難しいかもしれないけど、昨年度のように想定外の発見もあったりするので、そこは楽しみながら、対応していきたい。

目次情報などは、石川県立自然史資料館のサイトに近日中に公開される予定。
http://www.n-muse-ishikawa.or.jp/motto/publish.html

遠藤拓・北村俊平*. (2014) 自動撮影カメラによる石川県林業試験場内の中・大型哺乳類相の調査. 石川県立自然史資料館研究報告 4:23-36.

2012 年7 月から12 月に自動撮影カメラを用いて石川県林業試験場を利用する中・大型哺乳類を調査し,撮影頻度の上位種を記録するために必要な調査努力量について検討した.のべ撮影日数は782 カメラ日,総撮影枚数は4,754 枚で,哺乳類16 種(ネコ,ニホンアナグマ,イノシシ,ニホンカモシカ,タヌキ,アカギツネ,ホンドテン,ニホンリス,ハクビシン,ツキノワグマ,アカネズミ類,ニホンノウサギ,ニホンジカ,ニホンイタチ,ニホンザル,コウモリ類)と鳥類7 種(カケス,ヤマドリ,クロツグミ,トラツグミ,ヤマシギ,シロハラ,キジバト)が記録された.撮影頻度の上位種を記録するためには,同時に6台のカメラを設置した場合で40日間,1台の場合で84日間の調査が必要だった.本研究では,本州に生息する森林性の中・大型哺乳類相のほとんどを記録することに成功し,石川県林業試験場の森がこれらの野生生物にとって貴重な生息環境であることが示唆される.


大須賀さや・北村俊平*. (2014) 止まり木でスギ人工林への鳥類による種子散布は増加するのか? 石川県立自然史資料館研究報告 4:37-44.

人工林の生態系サービスを高める手法の一つとして針葉樹人工林の広葉樹林化が進められている.本研究では,針葉樹人工林内に止まり木を設置し,鳥類による広葉樹種子の加入を促進することができるかを検討した.石川県林業試験場内のスギ人工林に2 箇所の調査プロットを設定し,それぞれに10個の種子トラップ(止まり木あり5個と止まり木なしのコントロール5個)を設置した.2012 年7 月から12 月に2 週間間隔で種子トラップの内容物を回収し(計10 回),鳥類が散布した広葉樹種子を計数した.調査期間内に25 種3,347 個の種子を回収し,そのうち鳥散布種子は10 種40個(止まり木:9 種17 個,コントロール:8 種23 個)だった.トラップあたりの平均鳥散布種子数は止まり木とコントロールで統計的に有意な差はなかった.そのため,針葉樹人工林に止まり木だけを設置しても鳥類による広葉樹種子の加入は促進されず,針広混交林化に貢献することは難しい.


由利萌・北村俊平*. (2014) 石川県立大学キャンパスにおけるキク科アキノノゲシとセイタカアワダチソウの訪花昆虫の多様性. 石川県立自然史資料館研究報告 4:45-53.

石川県立大学キャンパス内調整池のアキノノゲシとセイタカアワダチソウを対象に訪花昆虫の種数や訪花頻度の決定要因とセイタカアワダチソウの開花がアキノノゲシの送粉過程に及ぼす影響を検討した.2012 年10 月に各810 分間の訪花昆虫の観察を行った.4 目38 種(チョウ目11 種,ハエ目16 種,ハチ目9 種,バッタ目2 種)の昆虫が記録され,アキノノゲシは22 種(訪花頻度95 回),セイタカアワダチソウは34種(訪花頻度530回),共通種は18種だった.アキノノゲシの開花数はアキノノゲシへの訪花頻度と正の相関,セイタカアワダチソウへの訪花頻度と負の相関が見られた.セイタカアワダチソウの花序数とアキノノゲシの訪花昆虫の種数や訪花頻度は正の相関を示した.両種の開花量は訪花昆虫の種数や訪問頻度に相互に影響しており,現段階では,セイタカアワダチソウを除去することで,アキノノゲシの送粉過程にどのような影響が及ぶのかを評価することは難しい.
コメント(0)  トラックバック(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0