フィールドの生物学17巻 [本]
10月中に手元に届いていたけど、先週末に寝込んでいた時にごろごろしながらようやく読み終えた。対象生物を探すところから、かなり苦労したらしい。特にいきもの好きでもない人が、生態の良くわかっていない生物を探すのは大変だったろうなあ。この辺は同時出版された18巻の著者とは対照的。苦労して調査方法を確立したと思ったら、先行研究にすでに書かれていたとか、本人からするとがっくり感じるようなこともあったらしいけど、考えた挙句、先人と同じ手法にたどり着いたと思えば、ちょっとした自信にもなるだろう。
本の最初にクモ全般の情報が網羅されており、特にクモ好きでもないとここで挫折する人がいるかもしれない。けど、この部分を通読するとかなりクモの知識が増えることは間違いない。とても丁寧な仕事ぶり。わたしは普段、クモの論文とか読むことはほとんどないけど、好きな生き物の一つなので、いろいろと豆知識を仕入れることができて、単純にうれしい。今度クモを見つけたら、寄生されていないかチェックしてみよう。ちなみに実家の庭では、30年ほど前にわたしが近くの神社から連れてきたジョロウグモたちの子孫と思われる連中が今でも巨大な網を張っています。
今年は春から冬まで定期的に大学のビオトープ池で植物の開花・結実フェノロジーを調査していた時に調査地内のクモ相もずいぶんと変化することが見てとれたので、もう少し真面目にクモの撮影記録も残しておこう。自動撮影カメラで越冬したがるクモたちもそれほど種数は多くなさそうなので、記録してみようかしらん。
大学ビオトープのオニグモ?
クモを利用する策士、クモヒメバチ
身近で起こる本当のエイリアンとプレデターの闘い
著者 高須賀圭三
体裁 B6判 304頁 並製本
本体価格2000円+税
出版社: 東海大学出版会
刊行 2014/10
ISBN978-4-486-01998-5はじめに
第1章 寄生蜂、他の生物に宿って命を奪うハチ
複雑怪奇な昆虫の世界
寄生蜂とは
ハチ目の進化的大事件、寄生蜂の誕生
コラム・ニッチと自然淘汰という概念
寄生蜂の定義と寄生様式
クモの体の寄生蜂、クモヒメバチ
クモヒメバチ属群内の系統関係
第2章 非昆虫少年とクモに寄生するハチ
ヒメバチとの出会い
松本さん、そしてクモヒメバチとの出会い
試行錯誤のハチ探し
地道な調査、個体数センサス
地道な調査から明らかになったマダラコブクモヒメバチの生活史
同じ研究テーマで先を越される
コラム・学術論文が発表されるまで
普遍的でない調査の苦しさと大切さ
第3章 クモと糸と網、その進化
身近な生物、クモ
クモ目と昆虫類の系統関係
糸の誕生
最も祖先的な現生クモ
クモは紡績工場と縫製工場の二足のわらじ ─糸腺と糸疣と出糸管
大瓶状腺の獲得と外界への華麗な進出
クモの夜明け ─網と生き方の爆発的多様化
円網の出現
コラム・メダマグモ上科─円網の単一起源説と収斂説
クモと糸の切っても切れない関係
第4章 クモとハチの知恵比べ
─クモを手玉に取った多彩な産卵行動
産卵行動の探索
クモヒメバチ類の多様な産卵行動様式
ヒメグモ科の立体的な不規則網?─?コガネグモ上科とは思えぬ網型
対釣り糸専用産卵行動様式
飼育実験から母バチの意図を知る
コラム・クモの飼育
異なる戦術が発見される
念願の飼育下産卵系の確立
国際誌へ初めての論文投稿
飼育系のアップグレードとまさかの新発見
同属種の対ノックダウン式専用産卵行動様式
産卵行動様式から見る適応放散の歴史
第5章 母の強さを知る
─アイディアが可能にした子殺し実験
どうしても証明したい!
寄生蜂が既寄生寄主に出遭ったら
アイディアが可能にした世界初の超マイナー実験
資源競争を勝ち抜いてきた母バチの強さ
クモヒメバチにとっての既寄生クモ
ゴミグモヒメバチ類の子殺しをめぐる種間競争
第6章 胚のうちから闘いは始まっている
外部寄生飼い殺し型の付着様式
解剖から見えたこと
組織切片が語る事実
博士課程に入って高校英語の勉強
コラム・科学と英語と日本人
博士論文とポスト探し
第7章 薬漬けでクモを労働ゾンビに
継代飼育系確立の失敗と網操作研究の開始
コラム・延長された表現型─寄生者による寄主の行動操作
世界の網操作研究
問題は円網の造網
兵庫県でも神社巡り─休息網の発見と円網との格闘
動画撮影システムの構築
繊維状装飾糸の意義
休息網の造網行動は?
寄主操作産物の物性評価
造網行動と糸の物理特性から見える網操作様式
網操作研究のこれから
第8章 進学か就職か
─インドネシアが呼んでいる
遅澤先生
インドネシア行きの再浮上、そして言葉も知らぬままスラウェシ島へ
ゴロンタロ、山岳部との出会い
地獄の調査登山
東南アジアにおけるヒメバチ多様仮説とクモヒメバチの山地隔離仮説
その後のインドネシアとの関わり
コラム・海外留学助成民間財団
終章クモとハチの虜
引用文献
索引
本の最初にクモ全般の情報が網羅されており、特にクモ好きでもないとここで挫折する人がいるかもしれない。けど、この部分を通読するとかなりクモの知識が増えることは間違いない。とても丁寧な仕事ぶり。わたしは普段、クモの論文とか読むことはほとんどないけど、好きな生き物の一つなので、いろいろと豆知識を仕入れることができて、単純にうれしい。今度クモを見つけたら、寄生されていないかチェックしてみよう。ちなみに実家の庭では、30年ほど前にわたしが近くの神社から連れてきたジョロウグモたちの子孫と思われる連中が今でも巨大な網を張っています。
今年は春から冬まで定期的に大学のビオトープ池で植物の開花・結実フェノロジーを調査していた時に調査地内のクモ相もずいぶんと変化することが見てとれたので、もう少し真面目にクモの撮影記録も残しておこう。自動撮影カメラで越冬したがるクモたちもそれほど種数は多くなさそうなので、記録してみようかしらん。
大学ビオトープのオニグモ?
クモを利用する策士、クモヒメバチ
身近で起こる本当のエイリアンとプレデターの闘い
著者 高須賀圭三
体裁 B6判 304頁 並製本
本体価格2000円+税
出版社: 東海大学出版会
刊行 2014/10
ISBN978-4-486-01998-5はじめに
第1章 寄生蜂、他の生物に宿って命を奪うハチ
複雑怪奇な昆虫の世界
寄生蜂とは
ハチ目の進化的大事件、寄生蜂の誕生
コラム・ニッチと自然淘汰という概念
寄生蜂の定義と寄生様式
クモの体の寄生蜂、クモヒメバチ
クモヒメバチ属群内の系統関係
第2章 非昆虫少年とクモに寄生するハチ
ヒメバチとの出会い
松本さん、そしてクモヒメバチとの出会い
試行錯誤のハチ探し
地道な調査、個体数センサス
地道な調査から明らかになったマダラコブクモヒメバチの生活史
同じ研究テーマで先を越される
コラム・学術論文が発表されるまで
普遍的でない調査の苦しさと大切さ
第3章 クモと糸と網、その進化
身近な生物、クモ
クモ目と昆虫類の系統関係
糸の誕生
最も祖先的な現生クモ
クモは紡績工場と縫製工場の二足のわらじ ─糸腺と糸疣と出糸管
大瓶状腺の獲得と外界への華麗な進出
クモの夜明け ─網と生き方の爆発的多様化
円網の出現
コラム・メダマグモ上科─円網の単一起源説と収斂説
クモと糸の切っても切れない関係
第4章 クモとハチの知恵比べ
─クモを手玉に取った多彩な産卵行動
産卵行動の探索
クモヒメバチ類の多様な産卵行動様式
ヒメグモ科の立体的な不規則網?─?コガネグモ上科とは思えぬ網型
対釣り糸専用産卵行動様式
飼育実験から母バチの意図を知る
コラム・クモの飼育
異なる戦術が発見される
念願の飼育下産卵系の確立
国際誌へ初めての論文投稿
飼育系のアップグレードとまさかの新発見
同属種の対ノックダウン式専用産卵行動様式
産卵行動様式から見る適応放散の歴史
第5章 母の強さを知る
─アイディアが可能にした子殺し実験
どうしても証明したい!
寄生蜂が既寄生寄主に出遭ったら
アイディアが可能にした世界初の超マイナー実験
資源競争を勝ち抜いてきた母バチの強さ
クモヒメバチにとっての既寄生クモ
ゴミグモヒメバチ類の子殺しをめぐる種間競争
第6章 胚のうちから闘いは始まっている
外部寄生飼い殺し型の付着様式
解剖から見えたこと
組織切片が語る事実
博士課程に入って高校英語の勉強
コラム・科学と英語と日本人
博士論文とポスト探し
第7章 薬漬けでクモを労働ゾンビに
継代飼育系確立の失敗と網操作研究の開始
コラム・延長された表現型─寄生者による寄主の行動操作
世界の網操作研究
問題は円網の造網
兵庫県でも神社巡り─休息網の発見と円網との格闘
動画撮影システムの構築
繊維状装飾糸の意義
休息網の造網行動は?
寄主操作産物の物性評価
造網行動と糸の物理特性から見える網操作様式
網操作研究のこれから
第8章 進学か就職か
─インドネシアが呼んでいる
遅澤先生
インドネシア行きの再浮上、そして言葉も知らぬままスラウェシ島へ
ゴロンタロ、山岳部との出会い
地獄の調査登山
東南アジアにおけるヒメバチ多様仮説とクモヒメバチの山地隔離仮説
その後のインドネシアとの関わり
コラム・海外留学助成民間財団
終章クモとハチの虜
引用文献
索引
2015-12-02 21:23
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