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FSD2015四日目 [学会]

今朝は少し天気が悪くなるとの予報もあったけど、それほど影響はなさそう。朝食後、プレナリーの二人が準備しているところForgetさんがビデオ撮影。この人、記録好きなんだなあ。FSD2000の頃から、さまざまな媒体を利用して、参加者を記録していて、昨夜も打合せ後、FSD2000の写真やビデオをみんなに見せて喜んでいた。15年前だとさすがにみんな若い。FSD2000の写真はあまり多くないらしく、安田さんがForgetさんに提供した写真が多数あった。

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朝の最初のプレナリーはブラジルのGalettiさん。Anthropoceneという単語が使われたのはそんなに古いとは知りませんでした。Scienceに掲載された論文を中心に最近の話題まで、人間活動により大型の果実食動物が絶滅した影響がヤシの一種に与える影響を調べていた。わたしたちにとってのPrunus mahalebだと話していたのが印象的。熱帯の樹木を対象として、ここまでの仕事をやることができるのは、素晴らしい。Ecographyにも印刷中の論文があるようなのでチェックせねば。

続いてFSD初参加の辻さん。マカクによる種子散布に関するレビューと自身のニホンザルの種子散布研究の紹介。今回はプレナリー、口頭、ポスターとすべてに申し込んでいて、結構大変だった様子。ニホンザルの調査風景の写真はしっかり笑いをとっていた。あの距離で追跡調査ができるというのは、見たことがない人にはわからないだろうなあ。発表後、Kaplinさんなどから質問が出ていたので、宣伝はできた様子。

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その後はSeed Dispersal by Animals as an Ecological FilterとMovement Ecology, Dispersal Kernels, and Genetic Effectsのセッション。後者に南アリカのナキサイチョウの研究が2件あったので、そちらを優先。ドイツのナキサイチョウの種子散布を研究しているチームの一人で、Journal of Applied Ecologyに2014年に掲載された論文の内容。パッチ間移動をネットワーク構造としてとらえて、GPSロガーの詳細な追跡データを活用して解析した研究。調査地はこの会場からそれほど遠いところではないらしい。なるほど、調査地の様子がつかめました。次は別会場でBurnsさんがニュージーランドのウェタによる種子散布のまとめの話だったので、移動してみるとキャンセルになっていた。なんと残念な。結局、今回のFSD2015では、脊椎動物以外の発表は、ナメクジ1件、アリ1件だけで、非常に少なかった。アリはともかく、まだまだマイナー動物の種子散布に関しては、研究は進んでいないと見た。

コーヒーブレイク時にインドの研究者から、わたしがポスター発表したサイチョウ類の体内滞留時間のデータについて、共同研究をもちかけられる。彼女も動物園の飼育個体を利用して、体内滞留時間の測定を試みたけど、失敗したらしい。やはり飼育下では、大型種子を含んだ果実を食べ慣れていないらしく、食べないそうな。彼女たちはインドでキタカササギサイチョウにGPSロガーをつけてデータ収集を行っているようなので、そのうちアジアのサイチョウ類の種子散布範囲を推定するような共同研究につなげたい。まずは私のデータを論文化しないといけないな。それは今回のFSD特集号に掲載してもらえるように準備しておこう。

午後の最初のプレナリーはげっ歯類の種子散布の研究をしているJansenさん。こちらもGPSロガーを利用した詳細な種子の運命の追跡調査を行った一連の研究紹介。BCIのテレメトリーって、こんな状況になっているのか。恐るべし。わたしも講義なんかでPNASの種子の移動を追跡した映像を紹介しているけど、確かに音楽と組み合わせ紹介した方がうけそう。

午後のセッションは1つだけく。最初の発表者はオーストラリアのMolesさんのところに留学中のChenさん。12,000本(桁は間違えていません!)の文献調査から、種子サイズと種子散布者の対応関係を調べている研究。てっきり種子サイズデータはMolesさんのデータベースを利用しているのかと思ったら、別に自分で作成したらしい。イントロでわたしにとっては、あなた方はスーパーヒーローですとお礼を述べていた。日本人研究者の論文は表や付表に種子の測定値の数値データがしっかりとまとめられていることが多くて、とても使いやすかったと話していた。最後の発表はJohn Terborghさん。昨年、Ecologyに掲載された論文の内容を紹介していた。彼はこれまでの6回のFSDに連続参加している唯一の人らしく、夕方のディナーで特別表彰されていた。

今夜はちょっと豪華なパーティー。プレナリー発表者や私を含めたScientific memberはワインを1本ずついただいた。ワインはこの日しか飲まなかったけど、数人で赤ワインを4本ほどあけた。その後はDJがやってきて踊りまくる。1時間くらいで終わるのかと思ったけど、3時間以上、踊り続けていました。さすがに翌日に発表がある人は11時くらいには帰った人が多いけど、わたしがひきあげた12時になっても参加者の半数近くは残っていたのではないだろうか。できる研究者は体力もあるということですな。

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