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アジアの熱帯生態学 [本]

朝一番でレフリー仕事のお断りメール。今まで査読をひきうけたことのない雑誌だけど、査読レポートを2週間で仕上げることを求めているのですね。対象生物も使っている手法もわたしの主な研究とは離れているからなあ。しかも土曜日に一つひきうけたばかりで、ちょっと余裕が無い。どう考えてもわたしよりもずっと専門が近い研究者のアドレス2名分送付して許してもらう。

さらにTropical Conservation Scienceに掲載予定の論文の広報用要約を1週間以内に提出して欲しいとの編集担当からの連絡。日本語でも広報用の記事を書くのは結構大変なんだけどなあ。さすがにスペイン語やフランス語、ポルトガル語は無理なので、英語のサマリーだけで許してもらう。

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コレットさんのThe Ecology of East Asiaの翻訳が出版された。表紙のオリジナルイラストがかわいい。この本はかなりしっかり読み込んだけど、日本語訳があるのは便利。日本人研究者の仕事をかなり広く網羅している。日本語のタイトルは英語版とは多少異なるけど、中身は東アジアに限らず、熱帯生態学の教科書としても十分に使える。

獅子吼方面へ登山練習 [日常]

昨夜はかなり激しい雨が降っていたけど、今朝は好天だったので、予定通り億獅子吼方面へ。ゴンドラのところにやたらとパラグライダーの人が乗り込んでいると思ったら、翌日の新聞によると何かの大会が開催されていたらしい。さすがに普段の週末でもあれほど沢山の人が一斉に乗り込んだりはしていないか。

登山ガイドの所要時間を参考にして、かなりゆっくりペースで登っていく。ただ、最初の斜面は雨上がりということもあり、通常の白山登山よりもコース的には登りにくいかも?黒い物体が飛んできたので叩き落とすとクワガタのメス。普段、近所で見かけるヒラタクワガタやコクワガタのメスではないし、角間で見かけたノコギリクワガタでもない。ミヤマクワガタのメスかな?

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飛んできたクワガタ

くねくねした登山道では、クサアジサイ、シュロソウ、リョウブ、トリアシショウマなどが咲いていた。途中、サンコタケも発見。去年、林業試験場でカニノツメはたくさん見たけど、サンコタケは初めて。途中、何度か休憩を取りながら、70分ほどで分岐点の月惜峠の小屋へ到着。ほぼコースタイム通り。

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クサアジサイ

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シュロソウ

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トリアシショウマ

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ハエドクソウ

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ミズキ

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サンコタケ

その後は奥獅子吼方面へ1時間ほど歩いて11時過ぎに早めの昼食を済ませる。このまま奥獅子吼方面へ向かって歩くことも考えたけど、今日は帰りの斜面もしっかりあることを重視して、ここへ引き返す。学生を連れて歩くなら、もう少し早い時間から登れば、奥獅子吼の山頂まで行くこともできるだろう。ただ、植物をのんびり観察しながら登るとかなり遅くなりそう。

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正面から撮るとかっこよい

ガスっていてあまり上からの景色が良くなかったのは残念だったが、登山練習という目的は十分に達成することができた。一度、林業試験場方面へ向かってぐるっと歩いて見ることにしよう。

能登島実習下見 [日常]

午前中は朝一番に大学キャンパス内の草本調査をこなして、その後は採点したレポートのまとめ資料の仕上げ。講義時間中にレポートへのコメントをしても良いのだけど、今日は余裕が無いので、配布資料で代替。学科・男女でも平均点に差がないのは面白い。先週、レポートを回収した時には、早めに返却するくらいで伝えていたので、今日、返却されるとは想定していなかった学生が多かった様子。まあ、レポートの配点は30%しかないので、あまり一喜一憂せずにしっかり試験勉強に取り組んでもらいたいところ。ただ、誤字・脱字は提出前に何度も繰り返し読み直せば減らすことができるのだから、しっかり確認して欲しい。

午後は9月中旬に行う能登島実習の下見へ。大学から集合場所までは1時間半くらいと聞いていたのだけど、1時間45分くらいかかった。里山海道にのるまでに結構時間がかかってしまったので、2時間くらいの余裕を見ておいたほうが良さそう。3月にもお世話になった地元の方にアドバイスをいただきながら、実習内容について打ち合わせ。ただ、本来の専門のメンバーがほとんど参加できていないので、今日は今のうちに詰めることができる点だけを確認。20人が参加するなら、5人1グループで4グループ編成くらいにすれば良いかな。

打ち合わせ後は実際に実習で主に訪問する場所の下見。農業体験実習や湧き水の調査などで訪れる可能性の高い場所をチェック。農業体験実習で訪れる場所については、水路が三面張りと土のままの場所が残っているので、生物相を比較するくらいはできそう。ただ、実際に実習で訪れるのは9月中旬なので、その時期に咲いている植物や捕獲可能な昆虫については、1週間前くらいにもう一度しっかり下見に行く必要があるだろう。うーん、草本から水生昆虫までめんどうみなきゃいかんのか。こりゃ予習が大変だ。

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かなり育っている

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土の水路

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湧き水ポイント

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藻類

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ハス田

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海岸

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ある程度管理された林

夕方で打ち合わせを終えて、帰宅。帰りも2時間くらいかかった。明日は白山登山の練習を兼ねて、家族で獅子吼方面に登る予定。

イノシシ柵イベント [日常]

朝から研究室メンバー総出で、白山自然保護センター主催のイノシシ柵の作成イベントに参加。天気が怪しかったけど、大雨にはならないようだったので、雨具を準備して、出発。結局、参加者の半数を県立大学の学生が占める結果となったらしい。目的地までは、大学から車で30分程度、山の方に向かったところ。石川県では、過去10年間でイノシシ被害が増加傾向にあり、加賀地方の山間部ではかなり被害が多発している。

目的地の河原山町では、イノシシの電気柵や金網柵を総人夫の一環として行なっているらしい。わたしの地元でも毎年田起こしの前に用排水のどぶさらいなどは行なっているけど、こういった形の総人夫もあるのか。

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山が水田のすぐ脇まで迫っている

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イノシシのぬた場

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こちらは電気柵

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こんな感じでつながっています

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お昼ごはんはイノシシ鍋

午後は町内のさまざまな畑でとられている獣害対策を見て回る。畑の持ち主によって、微妙にやり方が異なるのが面白い。

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キイチゴは美味しく色づいていた

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予定通り午後3時でイベントは終了。来年、同じようなことをやるのであれば、もう少しイロイロとできるかな。ただ、帰る途中でパンクしてしまい、1時間ほど時間をロスしてしまった。このタイヤでもう少し頑張るつもりだったけど、2本目なのでダメだな。

白峰おまい山のブナ林へ [日常]

朝から毎年実習でお世話になっている白峰のブナ林へ植物観察に出かける。6月上旬に訪れた時には、マーキングなどをしなかったのだけど、その後の実習が雨で流れてしまったので、予定外のお出かけ。日曜日は白山自然保護センターが主催のイベントに参加することもあり、大学から集合場所までの移動時間も確認。

1時間ほどで白峰に到着して、おまい山のブナ林へ。月曜日の雨で林床は多少濡れていたけど、すべる程ではなかった。ヤマアジサイ、オカトラノオ、ノギランなどが開花していた。地味だけどシャクジョウソウも開花中だった。先々週、別のブナ林を歩いた時には、蕾をつけた個体を見かけたので、これから本格的に開花してくるのだろう。

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遊歩道内を散策

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すっかり展葉したブナ

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開花中のノギラン

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アカモノ果実を食害中のカメムシ?

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シャクジョウソウ

2時間半ほど昨年度、実習で利用した場所を中心に歩いたけど、目的の植物は見つからず。やはり開花時期を逃すと難しい。ただ、見逃しているとは思えないので、既に果実が終わってしまったか、結実しなかったと考えることにして下山。昼食は地元の食材を活用した料理を楽しんでから帰る。

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キセルガイの仲間

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たくさんの薪

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今日の昼食

ハクビシンのロードキル [日常]

今日から本格調査を開始するはずだったテーマがどうも時期を外してしまったらしい。午前中に調査に出かけた学生から、ほとんど果実がなくなってしまったとの連絡。袋掛したつもりのものまで、隙間からすっかり食べられてしまったとのこと。前回の調査時に個体ごとではなく、果実毎にしっかり袋掛けしたほうが良いなとは思っていたのだけど…。予備調査でどの程度の結実フェノロジーなのかわかっていない植物を対象とした調査は難しい。まあ、終わったことはしかたがないので、残された果実に全力を注ぎましょう。

午後はルーチンの林業試験場での自動撮影カメラの確認。昼過ぎから出かけると暑い。林業試験場に入る手前の道路で何か動物の死体が見えたので、速度をおとすとハクビシンだった。いつも自動撮影カメラに撮影されている個体かもしれんなあ。道路上だとまたひかれる可能性もあるので、歩道側に移動させておいた。

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ハクビシンのロードキル

自動撮影カメラを確認したところ、先月末からツキノワグマは撮影されていない。そろそろサクラの果実はなくなったので、下に降りてくる理由もないのだろう。

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何かの足跡?

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イチョウも落ちてきた

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いつものカモシカ家族

カナダの大学院生だという方から、博士課程で大型のネコ科の研究をしたいとのメールとともに自分のCVが添付されてきた。いや、トラは研究していないし、これからする予定もないので、タイで適当な研究者の所属をいくつか紹介して返信。自動撮影カメラを利用した論文は書いているけど、トラや大型のネコ科を主な研究対象にしているわけではないからなあ。

再計算してみた [日常]

朝のメールチェックでインドの研究者から、アジアゾウの種子散布の論文についての問い合わせ。論文中の種子の出現頻度の計算方法がよくわからんとのこと。調査した糞数のすべてを分母にしているわけではなく、対象種の結実期間に確認した糞が分母になっているので、一見すると高い出現頻度になっているようにみえる。その辺、表中で説明を一言入れてあるのだけど、わかりにくいと言えば、わかりにくい。

わたしも元々はそんなふうに計算していたわけではなく、リバイス段階でエディターから指摘されたコメントに対応したもの。一年中結実している植物ではないのだから、結実期間内に調べた糞数を分母にしたほうがいいのではと言われ、それもそうかと再計算したのだった。まあ、恥ずかしい計算ミスとかではなくてよかった。メールアドレスで検索してみるとインドライオンを主に研究している人らしい。そのうち、ATBC Asian Chapterとかでお会いする機会もあるだろう。

午後は予備調査でちょっとした発見があったので、学生と一緒に盛り上がる。来週からの本調査では、しっかり押さえるべき点を確認することができるように研究計画をつめねば。

雨上がりの林業試験場 [日常]

午前中は講義でブナ林の実習に絡めてギャップダイナミクスの話と森林生態系における物質生産の話。ただ、今年は雨でブナ林での毎木調査ができなかったので、学生の実習内容と結びつけることができなかったのが残念。来年は4月に林業試験場に行く時に樹高測定や樹形をみる時間をとっても良いのかも。来週は相互作用系の話をして、最後は生態系サービスの話かな。

午後は林業試験場のICレコーダーの回収とイチョウの予備調査の確認。今朝は途中から雨が強くなって、1箇所はポイントカウントのデータが取れなかったらしい。まあ、野外調査はそんなこともあります。昨夜からかなり風が強いので、高いところに設置してあるICレコーダーは雑音が多く入っているかもしれない。

林床の自動撮影カメラも風が強い時には、近くの低木や草本の葉が揺れたのに反応して、電池の消費が激しい。来週の月曜日まで電池が持つかな?おお、先週はまだツキノワグマが撮影されている。ただ、サクラ類の果実はほとんど終わってしまったので、もうこの辺に来る用事はないはず。

今日は珍しく一匹もヘビを見かけなかったけど、ヒキガエルとモリアオガエルを見かけた。

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ヒキガエルは林床を移動中

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モリアオガエルは休憩中

今年の初カブトムシ [日常]

毎週のルーチン調査で角間の里山へ。水曜日の大雨の後、気温が上昇してきたせいか、トレイル沿いで見かけるキノコが増えてきた。増えてきたけど、すぐには同定できないのが残念。裏側から写真を撮るといろいろな虫が来ていることがよくわかる。

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いつも観察している樹液酒場で今年初のカブトムシを発見。その後、別の場所でも交尾中のカブトムシを発見。今頃から普通に見られるようになるのだろうか。自宅近所のクヌギの木では、まだカブトムシを見ていないけど、そろそろ出現してもおかしくなさそう。

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今年の初カブトムシ

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相変わらずモリチャバネゴキブリは多い

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シロスジカミキリの産卵痕?

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ヤマナメクジもウロウロしていた。

調査対象の果実がようやく熟してきた。うまく種子散布者を記録できるかどうかは、これから数週間が勝負になりそう。ただ、室内実験を組み合わせると結構な作業量になるので、時間のやりくりを上手にしてもらいましょう。