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キジ目鳥類の共同研究スタート [日常]

日中は査読レポートが戻ってきたので、それぞれのレポートを本文とともに読み直し、自分のコメントとまとめてエディターに送信。11月中に査読依頼した原稿の結果が次々に戻ってくるので、一つずつ対応。引き受けといて締め切りどおりに送ってこないのはなあ~。

その後は共著者になった総説の原稿を準備するためにサイチョウ類の生息する標高情報をまとめる。基本的には低地熱帯雨林に生息するグループだけど、時々、1,000mを越えるような場所でも記録される。ナナミゾサイチョウみたいに明らかに山地林に好んで住んでいると思われる種もいるので、この辺の情報をまとめておけばよいだろう。ただ、サイチョウはお前の専門だから2段落くらいに簡単にまとめてくれと気軽に言われると困る。週末までの宿題。

夜にタイのKMUTTのポスドクから、共同研究のお誘いメール。8月に参加したSCB-Asiaでも東南アジアのキジ目の現状についてのワークショップが行われていた際にも話題になっていたけど、実際にプロジェクトとして動き出すらしい。東南アジアのキジ目(Galliformes)の現状と分布を把握することを目的として、地上性哺乳類を対象とした自動撮影カメラの撮影データの副産物として撮影される鳥類データを有効活用しようというプロジェクト。

自動撮影カメラのデータは既に肉食動物を対象とした同じような共同研究に参加しているし、データ共有の過程で新たな発見にもつながるので、断る理由はない。ポスドク時代に行った自動撮影カメラのデータを再利用できるのはうれしい。ハラバラのデータでは、セキショクヤケイとセイランくらいしか撮影されていないけど、2004-2007年はまだ自動撮影カメラの調査はそれほど多くはないので、それなりに貴重なデータになりそう。ハラバラはこれからセイランの調査がスタートするらしいので、そちらでも活用してもらおう。

先週の雪かき後の腰痛はようやくおさまってきた。次回の雪かきは十分に準備運動をしてからとりかかろう。

哺乳類モニタリング終了 [日常]

久しぶりに晴れる予報だったので、朝から卒研生とともに林業試験場の調査へ出かける。さすがに大学周辺よりも雪が多い。普段の場所まで車で行くのはあきらめて、駐車場から交換用デジカメを持って移動する。靴下3枚を重ねたけど、あったか靴底を追加したほうがようさそう。冬用のブーツも準備したほうがいいかな。じわじわと冷たさが伝わってくる。さすがにこちらも湿った重い雪の影響で、たくさん枝が折れている。

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哺乳類モニタリングに使っていた自動撮影カメラは今日で回収。今年も4月から11月まではしっかりデータ収集することができた。月曜日に見せてもらった予備的な解析結果では、出現種数に変化はなさそう。まあ、せっかく調査地として利用させていただいているので、10年くらいのスケールで継続したい。撮影枚数は少ないけど、ニホンジカやツキノワグマの出現パターンとか変わるかもしれないし。

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調査中のマムシグサは大部分の個体は倒れてしまったので、すっかり雪に埋もれている。一部の個体はまだ倒れずにがんばっている。さすがに雪の上だとよく目立つ。ただ、食べられているわけではなさそう。さすがに悪天候のときにわざわざ食べに来ないのだろう。

その後は角間の自動撮影カメラの交換に出かける。こちらは林業試験場ほどの雪ではないけど、根返りした樹木や林床のササが雪に覆われて完全に景色が違っている。マムシグサも倒れた個体は雪の下なので、このまま雪が残ると春まで食べられることはなさそう。ただ1個体だけ雪に負けずに倒れずにいたので、こちらは食べられるかも。ただ、今週末からまた雪になりそうなので、先週と同じくらい降ると三脚の高さを挙げて対応しないと無理かも。

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午後は植物園の卒研生の調査の見学。この斜面で調査していたのか。クリタケやクマの爪跡などを発見。見かけた果実はイヌツゲやヒサカキなど。途中、カモシカとノウサギに遭遇。ノウサギはかなり近くから飛び出してきた。雪山はいろいろと楽しい。

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朝から雪かき [日常]

今朝も朝から雪かき。多分、しばらくすればとけるのだろうけど、本格的な雪を前に今後の準備もかねて、しっかり雪かき。ここちよい筋肉痛。自宅の庭に植えているツワブキも雪に覆われていた。

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JBN2014公開シンポジウムに参加した [日常]

朝から雪かきで体力を消耗する。非常に重い湿った雪。この冬最初の雪かきにしては、いきなりハードな雪。物置から雪かきセットを取り出し、車にも除雪セットを積み込む。調査用にスコップは常備していたけど、ブラシは忘れていて、昨日の夜に帰宅するときに大変だった。

予定通り、昼食後に電車で金沢駅まで移動して、その後は最寄りのバス停までバスで移動。普通に歩けば20分はかからない距離だけど、びちゃびちゃの雪の中を歩く気にはならない。二駅だけバスに乗って、移動。開会までに時間があったので、会場周辺で雑用を済ませてから移動。クマの研究者の知り合いはそれほど多くはないけど、受付で農工大の小池さんと雑談。いや、わたし植物生態学が専門ですから・・・。来年の夏以降に何か書かないといけないかもとか、めでたい話をきく。昨日のうちに移動してきたのは正しい判断です。

シンポジウムは「北陸に暮らすクマたちのブナ事情」というタイトルで、福井県、富山県、新潟県、石川県の事例について、ブナの豊凶と絡めた話題提供が行われた。ざっとみて100名程度は参加者がいるのではないだろうか。私のように非会員もいると思うけど、こんなにくるのね。

最初は水谷さんが「北陸地域におけるブナ科樹木の豊凶と熊の出没との関係」で、富山、石川、福井でそれぞれおこなわれているブナ科樹木の豊凶モニタリングの調査についての紹介。この仕事は、調査地として利用させていただいている石川県林業試験場でのモニタリング結果なども含まれているし、一度、別の会合で話を聞いたことがある。北陸三県で微妙に調査方法が異なるけど、その辺は解像度を多少下げることで、比較可能な形にして処理している。ブナとミズナラの豊凶は同調性が高く、これらが不作の年にはクマの出現頻度が上がりそう。

その次は「ブナいっぱいは幸せいっぱい?ブナ豊作年のクマの行動」で、富山県の立山カルデラ砂防博物館の後藤さん。今回は実は別のシンポジウムに参加した際に後藤さんに教えていただいたので、参加することになったんだな。後藤さんは調査個体数こそ少ないけど、GPSテレメを使って、豊凶年のツキノワグマがどこで何を食べているのかを非常に詳細に個体追跡した結果の紹介。同じような図をどこかで見たことがあると思ったら、カオヤイのシロテテナガザルチームがシロテテナガザルの移動経路を数日間連続追跡したデータよく似ている。さらに小型カメラを装着して、ツキノワグマの視点から採食行動を記録した映像がよかった。ツキノワグマって、どうやって林床の落果を食べているのか不思議だったのだけど、結構、前脚で落ち葉をかきわけ、口を上手に使って食べているらしい。ブナの根元は効率よく探すことができるらしい。

その次「ツートラップでせまる!ドングリ類の豊凶が左右するクマたちの動き」新潟大学の箕口さん。ネズミの話は何度か聞いたことがあるけど、今はツキノワグマも研究しているらしい。新潟県内の人里から奥山にかけての20kmほどの調査地内に25箇所の自動撮影カメラを設置した研究。ツキノワグマの個体識別用に利用しているちょっとした工夫が面白かった。遊ぶとまでは言わないけど、クマも好奇心旺盛な個体がいるらしい。新潟県もツキノワグマやイノシシ、ニホンジカなどが増えてきているらしい。この辺は石川県とも似ているかも。

最後は「金沢城にクマ?里山に生息するツキノワグマ」というお題で、白山ふもと会の有本さんの話題提供。こちらはさすがに何度か別の場所で聞いていたことがある。ただ、有本さんが白山自然保護センターにいた間にいろいろとツキノワグマ関係の自動撮影カメラデータや長期モニタリングデータを整理してくれたおかげで、ずいぶんといろいろなことがはっきりしてきた気がする。

最後は4人の質問者への質疑応答と総合討論として「人とクマのお付き合い。過去、現在、そして未来」というお題での話題提供が少しあって終了。うちの大学からも生き物関係のサークルには早めに宣伝しておいたのだけど、来た気配はなさそう。もうちょっとそういったところには積極性が欲しいところ。

なるほど、外部から見るとわたしは自動撮影カメラを使った研究に積極的に取り組んでいる人と見えるらしい。確かにここ数年間に共同研究で関わった成果論文が大多数なので、そう思われても仕方がない。自分がメインで利用している果実食や二次散布に関わる動物を記録するために活用した論文をさっさとまとめないとなあ。

かなり減っていた [日常]

週末から雪になりそうだったので、タイへ行く前に交換した自動撮影カメラの交換に出かける。大学から調査地方面の山はうっすらと白くなっていたけど、積雪情報を見る限りは、たいしたことはなさそうだったので、悪天候になる前に調査に出発。ただし、調査地内はすっかりと雪景色で、林床は真っ白になっていた。

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一面雪景色

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カキ

まずはイチョウのカメラを確認。お、こんなところまでツキノワグマが降りてきている。さすがにほとんど残っていない場所のカメラは回収。残り2箇所は、まだ林床に落ちた種子が残っているので、もうしばらく継続してみる。去年の冬のデータだと積雪後も訪問する可能性は高いだろう。それにしても今年はハクビシンの撮影頻度が高い。

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マムシグサは雪に埋もれたものや食べられたものなどさまざま。さすがに最近の悪天候の時には、あまり動物が撮影されていない様子。それにしてもちょっと積雪しただけで、ずいぶんと寒く感じる。今日は耐寒装備を準備しておいてよかった。タイに行く直前に新しく設置した個体は強風で倒れてしまっていたけど、数枚だけ果実消費シーンが撮影されていた。さて、後はこれらどうやってまとめるかを考えないといけない。

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午後は来年度の講義内容の打ち合わせ。分担科目の教員が入れ替わるので、実習内容も適当に変更しないといけなさそう。夕方から本格的な雪。これは週末はかなり積もるかもしれない。明日の午後は金沢市内で開かれる日本クマネットワークのシンポジウムに参加予定だけど、電車で出かけることにしよう。

昨年、名城大学で開催された鳥学会シンポジウムで話した内容をまとめた総説が受理されました。締め切りぎりぎりに投稿したので、微妙に文章を練りきれていなかったところを査読者にそのまま指摘され、GW中に返却されたものを結局、半年近く放置してしまった。ずいぶんと受理されるのが遅くなってしまったけど、内容は最近の鳥類による花粉媒介と種子散布に関する研究についての総説です。日本国内の研究動向は学会発表から、国外については、Web of Scienceを利用した文献検索からまとめています。花粉媒介の論文は普段、あまり読んでいないので、いろいろと新しい知識を知る機会になりました。

北村俊平. (2015) 鳥類による生態系サービス:特に花粉媒介と種子散布に注目して. 日本鳥学会誌 (in press).

こちらにきてから書いた論文で受理されたのは3年目にしてこれがはじめて。次は不良債権になっているポスドク時代の仕事を投稿せねば。まだまだ自分の年齢を越すのは先のことになりそう。