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JBN2014公開シンポジウムに参加した [日常]

朝から雪かきで体力を消耗する。非常に重い湿った雪。この冬最初の雪かきにしては、いきなりハードな雪。物置から雪かきセットを取り出し、車にも除雪セットを積み込む。調査用にスコップは常備していたけど、ブラシは忘れていて、昨日の夜に帰宅するときに大変だった。

予定通り、昼食後に電車で金沢駅まで移動して、その後は最寄りのバス停までバスで移動。普通に歩けば20分はかからない距離だけど、びちゃびちゃの雪の中を歩く気にはならない。二駅だけバスに乗って、移動。開会までに時間があったので、会場周辺で雑用を済ませてから移動。クマの研究者の知り合いはそれほど多くはないけど、受付で農工大の小池さんと雑談。いや、わたし植物生態学が専門ですから・・・。来年の夏以降に何か書かないといけないかもとか、めでたい話をきく。昨日のうちに移動してきたのは正しい判断です。

シンポジウムは「北陸に暮らすクマたちのブナ事情」というタイトルで、福井県、富山県、新潟県、石川県の事例について、ブナの豊凶と絡めた話題提供が行われた。ざっとみて100名程度は参加者がいるのではないだろうか。私のように非会員もいると思うけど、こんなにくるのね。

最初は水谷さんが「北陸地域におけるブナ科樹木の豊凶と熊の出没との関係」で、富山、石川、福井でそれぞれおこなわれているブナ科樹木の豊凶モニタリングの調査についての紹介。この仕事は、調査地として利用させていただいている石川県林業試験場でのモニタリング結果なども含まれているし、一度、別の会合で話を聞いたことがある。北陸三県で微妙に調査方法が異なるけど、その辺は解像度を多少下げることで、比較可能な形にして処理している。ブナとミズナラの豊凶は同調性が高く、これらが不作の年にはクマの出現頻度が上がりそう。

その次は「ブナいっぱいは幸せいっぱい?ブナ豊作年のクマの行動」で、富山県の立山カルデラ砂防博物館の後藤さん。今回は実は別のシンポジウムに参加した際に後藤さんに教えていただいたので、参加することになったんだな。後藤さんは調査個体数こそ少ないけど、GPSテレメを使って、豊凶年のツキノワグマがどこで何を食べているのかを非常に詳細に個体追跡した結果の紹介。同じような図をどこかで見たことがあると思ったら、カオヤイのシロテテナガザルチームがシロテテナガザルの移動経路を数日間連続追跡したデータよく似ている。さらに小型カメラを装着して、ツキノワグマの視点から採食行動を記録した映像がよかった。ツキノワグマって、どうやって林床の落果を食べているのか不思議だったのだけど、結構、前脚で落ち葉をかきわけ、口を上手に使って食べているらしい。ブナの根元は効率よく探すことができるらしい。

その次「ツートラップでせまる!ドングリ類の豊凶が左右するクマたちの動き」新潟大学の箕口さん。ネズミの話は何度か聞いたことがあるけど、今はツキノワグマも研究しているらしい。新潟県内の人里から奥山にかけての20kmほどの調査地内に25箇所の自動撮影カメラを設置した研究。ツキノワグマの個体識別用に利用しているちょっとした工夫が面白かった。遊ぶとまでは言わないけど、クマも好奇心旺盛な個体がいるらしい。新潟県もツキノワグマやイノシシ、ニホンジカなどが増えてきているらしい。この辺は石川県とも似ているかも。

最後は「金沢城にクマ?里山に生息するツキノワグマ」というお題で、白山ふもと会の有本さんの話題提供。こちらはさすがに何度か別の場所で聞いていたことがある。ただ、有本さんが白山自然保護センターにいた間にいろいろとツキノワグマ関係の自動撮影カメラデータや長期モニタリングデータを整理してくれたおかげで、ずいぶんといろいろなことがはっきりしてきた気がする。

最後は4人の質問者への質疑応答と総合討論として「人とクマのお付き合い。過去、現在、そして未来」というお題での話題提供が少しあって終了。うちの大学からも生き物関係のサークルには早めに宣伝しておいたのだけど、来た気配はなさそう。もうちょっとそういったところには積極性が欲しいところ。

なるほど、外部から見るとわたしは自動撮影カメラを使った研究に積極的に取り組んでいる人と見えるらしい。確かにここ数年間に共同研究で関わった成果論文が大多数なので、そう思われても仕方がない。自分がメインで利用している果実食や二次散布に関わる動物を記録するために活用した論文をさっさとまとめないとなあ。