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タイ調査三日目 [研究]

日中はものすごく暑いけど、夜はクーラーを切って寝ても問題ないくらいに涼しい。日本では花粉がたくさん飛んでいる時期なので、タイにいる間にピークが過ぎて欲しいところ。今日も7時に朝食を済ませて、調査に向かう。朝からチャーハンと昨日のラーメンの残りのスープでおなか一杯。昨日も昼食のおかずを購入したところでメニューを選んでいると近くで飼育されているアジアゾウが散歩から戻ってきて、バナナとパパイヤをいただいていた。触れるくらいの距離で見たのは久しぶり。

今日はカオヤイの入口ゲートから、いつもの道を登っていく。途中のイチジクにはオオミツバチの巣板がいくつもぶら下がっていた。そんな時期ですか。明日の朝は忘れずに写真を撮る準備をしておこう。最初にカオヤイで修士課程の研究中の学生のために果実を採集するというので、HQで車を降りて、Antiaris toxicariaの果実を拾う。まだ緑色なのにリスが食べているのか、かなりボロボロ落ちている。きれいに赤く熟した果実はほとんど拾うことができなかった。この木も森の中にはあまりないのだけど、HQには結構大きな個体が2本もあるんだよね。食堂の個体は完全に建物を突き抜けているし。

朝はまずMosingto貯水池の周辺の二次林にでかけてみる。20年前から二次林があるのは知っていたけど、ほとんど歩いたことはなかった場所。最近になって新しくトレイルも整備されたらしく、名札もついていた。へー、これがカオヤイ固有種のSyzygium khaoyaienseなのか。フロラ本で名前は知っていたけど、現物を見たのは初めて。でも野外では普通種との違いがさっぱりわからん。まあ、カオヤイのトレイルについている名札が間違えている可能性はゼロではないからなあ。

トレイルは新しいだけあって、説明版も数か所に設置されていたけど、すでにゾウに破壊されているものも見られた。周りはほとんどが二次林で大きな樹木は少ないし、ゆっくりと実生を探して歩いたけど、昨日の場所とは違って、なかなか見つからない。まあ、ほとんど散布される可能性がなさそうな場所なので、0データでも不思議はない。多分、キタカササギサイチョウがふらっと来るくらいだろうなあ。

標高が高いところもまだまだ雨が少ないようで、森の中は乾燥していた。落ち葉も多いし、林床の実生なんかも葉を垂らしているものがちらほら見られる。この時期はダニが心配なんだけど、あんまりズボンについてこないのはありがたい。トレイルにそってしばらく歩き、HQのほうに抜ける道を出てくるつもりが、途中でどうも分岐点を見逃したらしく、HQを通り過ぎて歩くトレイルに来ていた。30haプロットのすぐ近くまで来ていたので、そちらの営巣木の様子を確認してから、HQに戻るルートに変更。朝一番にGPSでマークした場所を目指して、HQに戻る。さすがに3時間半歩き続けて森を抜けると暑い。

昼食を食べてから、次は少し移動して、ゴルフ場の二次林を歩く。カオヤイで調査中の大学院生が観察していたアグライアの結実個体があるらしい。こんなところも初めて歩くなあ。左手が天然林、右手が二次林になっている尾根沿いのトレイルを歩いていく。オーツさんもめったにここは歩かないらしい。二人で少し離れて、私はトレイルを歩き、オーツさんは二次林側を歩いて進む。アグライアが見つかったら、声をかけて、写真を撮ったりする。ほとんどアグライアは見かけないのだけど、時々、数個体が固まって分布している場所がある。サイズからするとほぼ同じ時期に種子散布されたと考えられるのだけど、営巣木でもなく、たまたまキタカササギサイチョウの家族が立ち寄ったか、食べたばかりのオオサイチョウでも滞在していたのだろうか?

こちらも途中でトレイルから外れてしまい、ゾウ道を通ったりして、ゴルフ場のメイン道路に到着。今日はどこかの大学の測量実習が行われているらしく、日差しを浴びながら複数の学生グループが測量していた。途中からうろうろして体力を消耗したので、今日はこれで終了。オーツさん宅で甘いものをいただいてから、宿に送り届けてもらう。昨日と同様に水浴びして、洗濯して、今日の写真を整理して、調査記録をメモしておく。

明日の朝はオーツさんたちの仕事のお手伝いで、営巣木のブラインドの設定。その後は週末のイベントの準備にPak Chongに買い出しに行くらしい。
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タイ調査二日目 [研究]

日本では6時過ぎに起きているので、微妙に時差ボケなのか5時前に目が覚める。この時間帯でも動き出している人はいるので、道路に面している建物だと通行の車がちょっとうるさい。6時半にオーツさんが迎えに来るので荷物を整えて、メールチェック。少し早い時間に部屋から出て、入り口で待つ。昨日の夕方くらいから涼しく感じてきたけど、朝もまだ気持ちの良い天気。これから日中にかけて気温が上がるのだろう。

オーツさん宅で朝食を済ませて、7時にNarongさんと合流して、Kamolさんのまつカオヤイの西側の国立公園サイトに向けて移動。道端でお弁当のおかずを購入して、いつものゲートの手前で東に曲がって、あとは公園の北側を走る道路を進んでいく。カオヤイには長く住んでいたけど、この辺に来るのはほぼ初めて。カオヤイの北側はほとんどが畑になっているけど、そこから見える山の上は乾燥林。こちらはガウルが有名らしく、途中、2か所でガウル像を見かけた。あと観光客用のピサの斜塔もたっていた。

8時過ぎに待ち合わせ場所に到着。駐車場に車を止めて、周辺をうろうろしてみる。カオヤイの標高が高いところではあまり見かけないフタバガキ科のDipterocarpus turbinatus、Dipterocarpus alatus、Hopea odorataとか普通に生えている。乾季の終わりということもあり、森はかなり乾燥している状態だけど、もともとが乾燥林なのだろう。植林された場所で、キタカササギサイチョウのペアを見かける。何かを食べに来ていたらしい。こんな風にやってきて、植林地でもアグライアの実生が増えてきているようす。同じタイミングで、本来ふさふさのしっぽの毛が先端以外ほとんどなくなっていたクロオオリスを見かける。一瞬、ネズミヤマアラシが木に登っているのかと思ったよ。

9時過ぎにKamolさんが到着。お会いするのは多分、タイ南部でポスドクをしていた頃が最後だと思われるので、10年ぶりくらいか。その後、カオヤイで調査中にガウルに遭遇して、かなりの大けがをしてからは以前のような激しい調査はできなくなったそうで、コルセットを常備していた。Kamolさんの設定してある100か所の調査区を適当に案内してもらうことにする。まずはアグライアの個体数が多く、結実木からも近い植林地へ移動。結実個体の位置情報をまとめることができれば、キタカササギサイチョウの種子散布距離を推定することができるかもしれない。この場所であれば、雨季でもアクセスできなくはないので、一度、まじめに検討する価値はありそう。

近くの結実個体に案内していただいてさらに驚く。まだ個体サイズが小さいこともあるけど、結実した果実はほとんどがキタカササギサイチョウに食べられてしまうため、周辺で種子を拾うのは大変らしい。ここではキタカササギサイチョウがおそらくほぼ唯一の種子散布者になるんだろう。去年はあまり結実数が多くなかった様子で、結実個体の周りにも新規の実生はほとんど見られなかった。一方、別の場所の結実個体では、結実数の多かった一昨年に定着したと思われる実生が多数見られた。私が調査していた場所だと結実木周辺だとほとんどヤマアラシが食べちゃうんだけど、ここにはいないわけ?自動撮影カメラをおいてみたら、わかるかもしれないかな。

その後はアグライアの結実個体が近くにはほとんど見られない場所やKhao Laemを越えた先までいかないと結実個体がない場所を案内していただく。この辺は30年位前にアカシアが植林された場所らしい。ここにもいくつか調査区は設定してあるけど、アグライアの実生は見つかっていない。実際にいくつも歩いてみたけど、アグライアの実生を見逃しているとは思えない。ただ、もう少し広い範囲を歩いてみたほうがよさそう。

14時前に森から戻って、屋台で冷たいジュースをいただく。その後はオーツさん宅に戻り、コンビニでシャンプーと替え刃を購入してから宿に戻る。水浴びして、洗濯してから、今日の写真を整理して、忘れないうちに調査記録をメモしておく。

夕食後はポスターを作り始めてみる。明日はカオヤイの二次林を歩いてみる予定。
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タイ調査初日 [研究]

機内ではウトウトした後、朝食を食べてから機内映画(ファンタビ)を見ている間にバンコクに到着。さすがに5時前だと暗い。空港で3万円を両替したけど、あんまり交換率はよくないなあ。まあ、今回の滞在費には十分だろう。入国審査後にすぐに移動しても研究室に人が来ている時間ではないので、空港内カフェでコーヒーを飲みながらメールチェックとかして1時間ほど過ごす。

6時半ごろになって周囲も明るくなってきたのでタクシー乗り場に移動する。すっかり様子が変わっていて、タッチパネルで希望するタクシーの種別を選択して、印字されたレーンに移動するシステムになっていた。大学だとわかりにくいので、病院までとお願いして、タクシーに乗り込む。さすがに早すぎるかと思っていたけど、渋滞していたので、空港から1時間ほどで大学に到着。すでに研究室には人が来ていたのでご挨拶。荷物を置いて、朝食を食べに食堂に降りて、そこでも朝食中の他のメンバーにご挨拶。わたしもおかずかけご飯(25バーツ)をいただく。前に来た時よりもさらに値上がりしているかな?

朝食後、9時から車で移動することになったので、今回の滞在中のスケジュールを確認。わたしが見たいと思っていた植林地はいままでの調査地からはかなり遠いところにあるらしい。まったく訪問したことがないカオヤイの西側だなあ。アグライアもたくさんあるようなので、ぜひ見ておきたい。あとは報告書用の実生枠データを受けとったので、今回の訪タイの目的の半分は達成された。ピライさんのスケジュールに合わせて、カオヤイから7日に戻ってくるか、フライト直前の9日の午後に戻ってくるのかになりそうなので、実質、森をうろうろできるのは明日からの3日間。うまくいけば、推定した種子散布距離をサポートするようなデータが得られると思うのだけどなあ。

オフィスから車でNarongさんの運転する車でPak Chongを目指す。えーと前回、こちらに来たのは、アグライアの生存を調べに来た時だから2015年12月か。移動中はNarongさんがでかけたサラワクやフィリピンの調査の話を聞く。ピライさんがもう72歳なんだけど、Narongさんも来年には60歳になるとのこと。そんな年齢だったっけか。60歳でまだまだフィールドワークをバリバリやっているのは元気で何より。途中、トイレ休憩をはさんで11時40分ごろにPak Chongに到着。さすがに暑い。豚肉チャーハンをいただき、オーツさん宅へ移動。いつもの宿に部屋をとってもらっていたけど、今日は新築された新しい部屋だった。

夕食までの時間は日本で終わらなかった査読仕事に専念して、レポートをほぼ書き上げる。明日は7時に出発して、2時間ほど移動した場所にあるカオヤイの西側の森を見てくる予定。
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タイ調査移動日 [研究]

朝は大学に出かけてヤマナメクジの体重測定。3月になったのをすっかり忘れていた。孵化していなかった卵は何かキノコバエのようなものが発生してしまい、みんな食べられている様子。うーん、卵を移動させたときに付いたのかもしれないけど、こいつらの卵はどこから来たのだろうか?ほぼ密閉してある容器だから、この容器に移動させてから卵を産まれたとは思えないのだけどなあ。2時間ほどで作業を終えたので、調査用の双眼鏡とGPSをもって帰宅。東京マラソンはちょうど30キロ手前くらいから見ることができた。

今回は小松から羽田経由でバンコクに移動するフライトを初めて利用してみた。夕方に自宅を車で出発して、国際線専用駐車場に車を止める。入り口から一番近いところが1台分空いていたので、ラッキーだった。それでも空港の入り口までそこそこ距離があるので、雨が降っていなくてよかった。レンタルWifiを回収して、荷物をすぐにチェックインしてしまう。羽田でもANAで乗り継ぐので、バンコクまでそのまま移動できるので楽。ちょっと余裕をもってきすぎたので、保安検査前にあるラウンジで時間をつぶす。せっかくのカードだから有効活用せねば。

定刻よりも少し早い時間に離陸して羽田に向かう。今日は能登のほうへ飛んでから羽田に向かうルート。ちょっと揺れていたみたいだけど、ニュースを聞きながらウトウトしているうちに羽田に到着。こちらも雨。国際線ターミナルへの連絡バスに乗って、夕食を食べる場所を探す。ちょうど混んでいる時間帯だったので、空いていた洋食屋さんで、エビグラタンで夕食にする。あとは出国審査を済ませて、出発ゲートで待機。

夜中のフライトは手続きにかかる時間が少ないのは便利。あとはバンコクについてからの体力の問題か。まあ、夕方から電車で4時間かかけて関空に移動するよりはずっと楽ちんかな。明日も早朝にバンコクに着くから入国審査はそれほど時間がかからないだろう。ただ、明日の間にカオヤイまで移動する予定なので、そちらのほうが結構大変かもしれない。



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論文合宿四日目 [研究]

今日は移動日なので、のんびりと起床して朝食を済ませる。サイチョウ分のデータ整理はもう少しで終わりそう。9時45分のタクシーにあわせて、荷造りを終えて、さっさと移動。今回は新幹線を予約済みなので、安心して移動できる。タクシーが早めに来ていたので、そのまま移動したら、犬山駅から1本早い電車に乗れたので、名古屋で新幹線の時間帯も変更してもらう。20分しか変わらないけど、ちょっとだけ東京駅に早く着きそう。

新幹線の車内は昨日、半谷さん経由で購入した「サルと屋久島:ヤクザル調査隊とフィールドワーク」を読む。まだネット販売などはされていないし、著者のところに届いたばかりだったので、できたてほやほやの本らしい。生態学分野で京大出身のフィールドワーカーには野生生物研究会出身がかなり多いけど、そこのメインイベントの一つが夏休み期間のヤクザル調査隊イベント。現在はかなり組織化されていて、わたしも大学の講義中に参加者募集チラシを紹介したりしている。本書ではその30年間の試行錯誤の歴史がいきいきと紹介されている。

東京駅で荷物を預けることができないかコインロッカーをざっと見たけど無理そう。おとなしくホテルまで移動して荷物を預けてから移動。まずはホテルの目の前のお店で昼食。まだランチがあったので、炊き込みご飯セットをいただく。その後はホテル近くの浅草周辺をざっと観光案内。たまたま猿回しを見ることができたけど、霊長類研究者の視点からは微妙なところもあるのだろう。

ホテルに送り届けて、わたしは上野から帰宅。一つ早い電車に変更できたのと金沢駅ですぐに乗り換えることができたので、予定よりもかなり早く帰宅することができた。さすがに疲れたけど、明日もシンポジウムなので、おでかけ。

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論文合宿三日目 [研究]

今日も天気は良さそうだけど、ちょっと雲が多い。さすがに昨日の夜に食べ過ぎたので、今朝は控えめにパンを食べて朝食を済ませて、メモ書きを書き上げる。朝一番は犬山城をざっと見てまわる。先月も来たけど、紅葉が進んでいたのでちょっと雰囲気が違う。さすがに平日の朝一番なので、ほとんど観光客がいない時間帯でスムーズに動くことができる。週末は紅葉シーズンだし混むんだろうなあ。

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1時間ほどで霊長類研究所に戻り、二人は別の研究者と打ち合わせ。わたしは昨日の宿題を解決する準備として、昔のデータを眺めてみる。今まで果実形質のデータは縦横しか公開してこなかったのだけど、実際は3次元で測定していたので、その未公開データを利用できるする形にする。ちょっと面倒くさいのは2002年の論文のデータは種名を更新して、数値ミスを再確認する必要があるところ。本当は研究室に戻ってから、大画面で確認したいけど、今日のところは仕方がない。

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今日は月末で食堂がお休みなので、移動販売のお弁当をいただく。お昼は滞在中のインドネシアの研究者も交えて、いろいろと雑談。みなさんカード情報が悪用された経験がある様子で、いろいろな経験談を教えてもらった。私も海外でカードを利用することもあるので、ちょっと気をつけておかないといけないこともありそう。

午後もひたすらデータセットの再確認と準備作業。手持ちのデータは確認したので、あとはブタオザルの論文から必要なデータを抜き出して、データベースに付け加えればよさそう。どうにか今夜中にはまとめることができるだろう。

今夜は回転ずしに行ってみる予定。

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論文合宿二日日 [研究]

今日も良い天気。朝からチンパンジーたちの騒ぎ声で目覚める。昨夜購入したパンで超勅を済ませた後は、テレビをつけてニュースを聞きながらハナグモデータの修正作業を続ける。データを見た時と統計処理の結果がなんとなく感覚的に一致していなかったところを再解析して、メールに返信するなどしているうちに時間が過ぎる。

9時から二人と一緒に辻さんの研究室を訪問して、前回と同様にお茶部屋をお借りして、仕事を進める。とりあえず辻さんがこれまでに収集したデータを二人に確認してもらう。へー、こんな風なアンケートだったんだ。サンプル数は十分に集められているようで、二人ともデータの中身を確認するのに忙しそう。

その後、共同研究で進めている論文の進行状況について簡単に説明。来年3月末にインドを訪問することになりそう。インド側は予算の終わる来年11月までに少なくとも2本の論文を投稿することが求められているので、そのノルマは必ず達成したいとのこと。わたしのサイチョウ論文の進行状況があまりよくないので、マカクの果実・種子サイズデータとの比較を提案される。わたしも記録はしていたけど、論文に使っていなかったデータを活用することを提案されたので、手持ちのデータを見せるとこれでよさそう。

サイチョウのことはよく知らないから教えてというので、種子破壊はほぼやらない(できない)、カオヤイではサイチョウ種間で利用できる果実・種子サイズにあまり差はない、サイズとしてはブタオザルと同じくらいの範囲だけど、種構成はかなり違うとか説明。そういえば、前にKitamuraがそんなことを論文で書いていたという話になり、ようやく本人が目の前にいることに気が付いた様子。ブタオザルの追加データが必要なので、同じ調査地の先行研究データに掲載されている種子サイズデータに私の果実サイズデータを組み合わせるか、わたしのデータセットにブタオザルの食性を追加すればよいだろう。

午後はセミナーで、Asmitaさんが学位論文の内容のメインテーマであるアカゲザルの種子散布とヒトからの餌やり行動が種子散布過程に及ぼす影響の紹介。アカゲザルはアジアに広く分布するけど、辻さんたちがベトナムで予備調査を行った以外に種子散布に関する研究はほとんど行われていなかった。AsmitaさんがインドのBuxa Tiger Reserveで進めた研究の成果として、情報がいろいろと蓄積されてきた。個人的には、野外で排泄された糞を追跡調査して、発芽を確認している点を高く評価したい。

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https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ajp.22302
https://link.springer.com/article/10.1007/s10764-015-9869-6
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0140961
https://link.springer.com/article/10.1007/s10764-016-9933-x

最初AJPの論文は読んだけど、IJPとかPLoS ONEはアブストしか読んでいなかったので、まとめて話を聞くことができてよかった。あとで彼女はかなり早口だったけど、すごく聞き取りやすい英語だった。あとからコメントがついていたけど、彼女が質的要素の指標の一つとして使っていた種子散布距離は遺伝子レベルで確認しているわけではなく、糞からもっとも近い同種繁殖個体という定義で使っているので、過小評価しているのは間違いない。ただ、アカゲザルの体内滞留時間のデータと行動データと組み合わせれば、シードシャドウを推定できるので、そちらと比較することはできるだろう。

二人目は人類化石のかなりタイムスケールが大きい話で、人類進化の歴史とアフリカからアジア、アメリカへの広がりについての話題。教科書に出てくるような発掘場所の写真とか並んでいるとへーっとなってしまう。南米の標高が高い場所での人類化石の採集風景とか、すごく乾燥してそうなだった。

夕飯は前回も好評だったお好み焼き屋さんへ。最初はベジタリアンだと聞いていたのだけど、そうではなかったらしい。たまたま高校生たちが近くに座っていたのだけど、彼女たちはこんな時間まで何をしているのだと不思議だった様子。多分、部活動帰りなんだろうなあ。今回は二人ともあまり食べない人なので、1.5人前くらい食べたので、おなか一杯。

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論文合宿初日 [研究]

昨日の花粉症のような症状は治まった様子でちょっと安心。気温が高くて早くに開花したスギとかあったのだろうか?今日も先週と同じ電車で名古屋に向かう。さすがに1週間で3回乗ると多いなあ。

移動中の電車の中ではひたすら昨年度の卒業研究を投稿するための手直し。図表はカラーのままでもよいかと思ったけど、モノクロ印刷した際にいまいちわかりにくかったので、普通の論文用に色パターンなどを修正。卒論時はグラフ化した情報も整理して、簡単に傾向を示すだけでよいものについては、統計処理の結果を本文中で示すだけに変更する。インドからの二人も無事に成田空港から電車に乗ることができた様子。

名古屋駅で二人を迎えに来た辻さんと合流して、待ち合わせ場所で待機。予定の新幹線が到着した時間になってもなかなか姿を見せなかったけど、無事に合流できた。名古屋駅でエビフライランチをいただき、犬山へ移動。3時ごろに霊長類研究所に到着。さすがに移動でお疲れの様子なので、少し休んでいただいてから夕食に向かう。

明日は朝から研究室で打ち合わせと論文執筆作業の準備。

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論文合宿4日目 [研究]

あっという間に週末になってしまった。今朝もKimさんは近くを散歩してきたらしく、白い鳥を見たといっていた。川にいたらしいので、コサギかチュウサギだろうか。眼鏡をしていなかったから、よく見えなかったとのこと。それにしても霊長類研究所の周辺はカラスが多い。所内には大きな木も多いから、ねぐらになっているのだろうか?まあ、チンパンジーの声が響き渡るのがずいぶんと違うのだけど。カリンズの森を思い出すなあ。

今朝も9時から論文合宿の続き。先日、再来年の3月上旬に開催されるFSD2020でのプレナリー講演者の候補として、日本人の研究者で私よりも若い世代の人のホームページ情報をまとめて二人に送付。論文リストだけではなく、被引用回数などもすぐに見ることができるので便利。本当はタイやカンボジアなどで種子散布に取り組んでいる研究者がいるとよいのだけど、適当な人が見つからないらしい。中国はドングリの種子散布の研究はすごく進んできたけど、他の分類群を対象としてガンガン論文を書いている若手は多くはなさそう。あとはマレーシアとかかなあ。候補者を探しておかねば。

昼食はうどんを食べに出かけたのだけど、結局、二人はそばを食べていた。まあ、自分でゆでて、適当なトッピングを選択する形式を楽しんでいた様子。あと週末に事に来ている家族連れを観察していた。マカクの論文は辻さんとKimさんがデータの再解析と論文の枠組みの再構築をかなり進めてくれたので、最初に投稿できることになりそう。3月までに2つ投稿するのがノルマなので、あと1つをどうにかしないといけない。インドの別の研究者にメールでデータの共有を依頼したところ、もうしばらくすると調査に出かけて、戻ってくるのは2月とかいう返信が届く。おっとそれはいけないとのことで、とりあえず食性と果実形質の情報だけでも送ってもらえるようにお願いしておく。

夕食はお好み焼きへ出かけてみる。Soumyaさんはインドで似たような料理を作ったことがあるので、小手を上手に使ってひっくり返していた。日本酒も少し飲んでみて、楽しんでいただけた様子。今日もおなかいっぱいで就寝。
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論文合宿3日目 [研究]

6時ごろに目が覚めるとKimさんがすでに起きていた。Soumyaさんもキッチンで見かけたので、二人とも結構早い時間から起きている様子。早朝、周辺を散歩したりして、来ている様子。昨日、二人ともセミナーを終えたので、今日からは論文書きに集中。朝いちばんには、作業部屋で湯本さんに大型種子コレクションを見せてもらう。今日はこれから会議が続くそうな。

Kimさんは辻さんとマカクの論文、Soumyaさんと私はサイチョウのデータフォーマットの作成に取り掛かる。私はサイチョウ類の図鑑から、体サイズのデータセットを作成して、アジアのサイチョウ類をサイズで分類してみる。種子散布のことを考えるなら、口幅サイズで定義したいけど、全種の口幅データはそろいそうにないし、体サイズと相関するだろうから、体長か体重を使っておけば、悪くはないだろう。食べる量とかを考慮するなら、体重のほうがよさそう。大型種では雌雄で体サイズがかなり異なる場合もあるけど、今回は種間比較が目的だし、大まかな区分を超えるような雌雄差はなさそう。体重順に並べてみて、うまく分かれそうな基準を決めて、Soumyaさんに送付して、確認してもらう。まあ、当初の3段階の区分でよさそう。

外から聞こえてくる騒がしい鳴き声は何の鳥だとSoumyaさんから聞かれたので、ヒヨドリだよと教える。日本では普通種だけど、他ではあまり見られないから、外国からのお客さんが喜ぶ鳥ではある。英語のバードガイドは持ってこなかったそうなので、辻さんの日本語の図鑑を貸していただく。まあ、写真と学名があるから、使えるだろう。英語のフィールドガイドは来客用に持っているけど、持ってくるのを忘れたなあ。キツツキの仲間が見たいそうなので、コゲラだったら見られるかな。

今日は霊長類研究所の食堂が清掃のため休みだということで、移動お弁当屋さんで購入。うちの大学にも移動お弁当屋さんとか来てくれないかなあ。午後も途中、休憩をはさみながら、データフォーマット作成作業を継続。カオヤイデータでは毎木調査データもあるので、その中で各種のサイチョウ類が種子散布する樹種の割合や個体数などを計算してみる。かなり食性の重複度が高いので、ほとんど変わらない数値。まあ、大型種が絶滅しても小型種が代替的な種子散布に貢献できる可能性を指摘することはできそうか。

二人とも生魚を食べることもできるので、夕食は回転ずしに行ってみる。金曜日の夜ということで、混んでいたけど、雰囲気は楽しんでもらえた様子。夜は宿舎でもう少しデータフォーマット作成作業を続ける。カオヤイとブードーのデータに加えて、果実の直径データしかないけど、ボルネオのデータまでは作ることはできた。
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