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タイ調査四日目 [研究]

昨日は少し頭痛がしていたので、早めに寝たおかげか、今朝はすっきりした気分。多分、枕が微妙に高くて睡眠が十分に取れなかったことが原因だと思われたので、昨夜は枕をタオルで調整して寝たのが良かったか。あまり日本とバンコクで気温差がない時期なので、それ以外の要因はすぐには思いつかない。昨夜はかなり激しく雨が降って、気温が下がって気持よく眠れた。

午前中に明日からの動物園での調査予定を確認。シワコブサイチョウとオオサイチョウは同じケージにいるけど、シロクロサイチョウは別の場所に移動してしまったらしい。シワコブサイチョウとオオサイチョウは2月に個体が入れ替わっていたので、リュウガンの追加データが欲しいので、まずは明日、そのデータを収集する予定。問題はリュウガンのハイシーズンで、普通に売られている果実は結構大粒なものが多いこと。これまでのデータと統一性をとるためにもできるだけ小粒な物を市場で探してきてもらうことにする。

ピライさんは日本鳥学会の英文誌の編集委員も務めているので、雑誌が送られてきている。そういえば100周年なのですね。ついでに和文誌の原稿もざっと目を通しておく。総説は二人とも学位論文のイントロか?カッコウは種生物学会でまとめた内容に近いのかな?来年度は鳥を卒業研究のテーマで扱いたいという学生が来る予定なので、ちょっとこちらも勉強しておかねばならない。今まで身近なところに鳥学会会員がいたのだけど、今の環境だと日本鳥学会誌とかすぐに読めないのがちょっと不便ではある(入会しろというツッコミはなし)。

3月7日にリバイスした原稿を返送してから、半年間音沙汰がなかった論文が受理されました。突然、受理したけど、英語もうちょっと修正してねとメールが届いた。リバイス後に英文校閲に出さなかったからなあ。2005年にシーサンパンナで開催されたATBCの年次大会のニクズク科シンポジウムで話したことがきっかけでまとめた総説で、前所属の図書室のフロラ文献をフル活用したことで完成できた論文です。

Kitamura, S. & Poonswad, P. (in press) Nutmeg-vertebrate interactions in Asia-Pacific region: the importance of frugivores for seed dispersal in Myristicaceae. Tropical Conservation Science.

主に東南アジアでニクズク科を利用する動物相をまとめてあるので、この種は何に食べられているのかとか、先行研究でどんなものがあるのかを知りたい時に辞書代わりに使えると思います。まあ、ニクズク科を研究する人がどのくらいいるのかわからんけど、東南アジアでは同所的に複数種が分布しており、同定もしやすい分類群なので面白いと思います。

タイ調査三日目 [研究]

6時頃から目が覚めていたけど、微妙な時差ボケを修正すべく、すぐには起きずにのんびりと起床。シャワーを浴びて、さっさと朝食を済ませて、ピライさんが起きてくるのを待つ。最近、生活リズムが完全に狂っているらしく、早朝に眠って午前中は寝ていることが多いとのことだったけど、さすがにそれでは困るので、昨夜は早く寝るようにしていたけどどうなったことやら。

待っている間は、後期の講義で使う予定の本を読む。昨夜は途中で力尽きたので、同じ所を読み直す。博物館に所属していたけど、標本についてまともに勉強していないので、知らないことも多い。やはり来年度からは自然史資料館を活用する形にして、実物を見せながらの講義にしたほうが良いだろうな。今年度は、どこかから適当な標本を借りてくるか、実物があるうちは実物を採集してきて対応しよう。

午前中は昨日の入力済みデータの確認作業。同じようなデータを大量に入力するとどうしても入力ミスがあるし、おまけに自分が収集していないデータだとデータシートの読み取りを慎重に行う必要がある。やはり、ポロポロ入力ミスが見つかる。怪しい数値が入力されるとエラーを返すようにはしているけど、それでも入力ミスはある。大きく傾向が変わるようなものではないけど、朝から昼まで営巣木の前で観察していて、一度、とれるかどうかわからない貴重なデータだから、シッカリ確認しておかねば。のべ観察時間は340時間で、来年の繁殖期にも観察してもらえば、500時間ほどになりそう。本当は2月ぐらいに自分で10日間ほど観察できれば良いのだけど、日程的に難しいだろうなあ。

体内滞留時間を計算してみて、今までよりかなり長い値や短い値が出ているものを確認したけど、おかしな所は無さそう。動物園の飼育個体での観察例よりも長いデータが増えたけど、動物園で観察時間中に種子の排泄を確認できなかったものは、更に遅くに吐き戻されていた可能性もあるということか。となると、アフリカのサイチョウの体内滞留時間のデータはあれで正しいのか?

昼食後は発芽実験のデータとにらめっこ。数値入力されたデータシートとデジカメの撮影記録をすりあわせて、発芽状況の確認。思っていた以上に死亡率が高い。カビにやられているものが多いなあ。MastixiaとかCanariumとか、ほとんどはすぐには発芽しないのだけど、一部は発芽している。この辺、何で決まっているのか知りたいところ。

明日はデータ整理を進めて、6月の熱帯生態学会で話した内容にデータを追加して、生態学会で話すことができそうかどうか検討。どう考えても10月以降は卒業研究の対応にかなり時間がかかるので、早めに準備しておこう。

タイ調査二日目 [研究]

時差ボケでもないのに5時に起床。さすがにまだ暗いけど、目が覚めてしまったので、朝食までの時間はNHKを見て過ごす。今朝は曇っていてあまり天気は良くない感じ。7時前に朝食に出かけて、8時10分頃にホテルをチェックアウトして、タクシーでマヒドン大学へ移動。この時間帯は混んでいるなあ。

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ホテルからの眺め

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朝食はバイキング

オフィスでスタッフに挨拶して、早速、ここ半年分の繁殖巣での観察データと発芽実験のデータをもらう。ピライさんが午後から出勤してくるらしい。オオサイチョウ、シワコブサイチョウ、ビルマサイチョウのデータ。ビルマサイチョウは雛の数が多いせいか、かなりたくさん吐き戻しデータが得られている。Bhesa robustaとCryptocara sp.1については、テレメのデータと合わせて種子散布距離の推定を行うことはできそう。

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昼食は25Bのチャーハン

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おやつは若いマンゴー

日中は営巣木での観察記録の入力で終了。明日は今日のデータの入力ミスを確認して、そのあとは発芽実験のデータを整理して、プログレスレポートの準備。ピライさんとの打ち合わせは、このデータを整理して図表を見せながらかな。

タイ調査初日 [研究]

5時半に起床して、関空へ移動。さすがに石川県から関空まで移動して、そのあとフライトでバンコクに移動するのはちょっとつかれる。ただ、マヒドン大学でポスドクをしていた頃にも同じようなスケジュールで移動していたと思っていたけど、8年前だからなあ。さすがに眠いので、電車での移動時間はほとんど睡眠。新大阪で乗り換えるときに雑誌を買って、はるかに乗り換えてからはそれを読んで過ごす。電車はいずれもガラガラだった。

いつもはフライトの2時間前には確実に空港につくようにしているのだけど、今回は電車の都合で1時間40分前。チェックインカウンターがかなり混雑していて待たされた。今回は調査用具をほとんど持って行かないので、荷物は12キロ程度。普段は25キロ以上持って行くことが多いので、今回は楽勝。さっさとイミグレを通過して、ラウンジでシャワーを浴びて着替えてから、ゲートへ移動。フライトが10分早くなっていたので、ゲートに着く頃には既に搭乗手続きが始まるところだった。

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チェックインカウンターで座席のモニターの調子が悪いと言われていたのだけど、問題なく動いていたので、フライト中は「プロメテウス」、「MIB3」、「メリダとおそろしの森」の3作品を見て過ごす。本当は査読レポートまとめてしまうつもりだったのだけど、集中力が続かなかったので断念。プロメテウスは途中編集してあるのか、どうも話のつながりが飛んでいたような。MIB3はタイム・トラベルする話だけど、前作を見ていないせいなのか、どーもわかりづらい。メリダは英語版で見ていましたが、着陸までに終わらず。

バンコクに15時に到着したけど、空港のイミグレがひどく混んでいた。タイには何度も来ているけど、今まで一番ひどい込み具合だったのではないかな?40分近く待たされた。まあ、荷物は既に出てきていたし、16時頃に荷物を持って外に出たのでトータルではあまり変わらないかな。でもタイのパスポート専用レーンがガラガラなら、もう少し外国人をそちらに誘導するとかしろよなあ。

空港からはエアポートリンクで移動して、いつものホテルへ。いつの間にかホテルの名前がSiam City HotelからSukosol Hotelに変更になっていた。経営者が変わったのか?ホテルでシャワーを浴びて、ネットにつないでみるとログイン無しでいきなりつながった。おお~、ようやく無料化されましたか。着替えてからいつものティダ・イサーンで夕食。ビール、海鮮チャーハン、海鮮サラダ、ナマズの唐揚げスープで315バーツ。屋台でドリアンが山盛りに得られていたけど、1パック70バーツとか結構高めだったので、やめる。隣のカオニャオ・マムアンを購入してデザートにする。

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シンハービール

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海鮮チャーハン

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海鮮サラダ

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ナマズ唐揚げスープ

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カオニャオ・マムアン

明日から2月以降の半年で収集してもらったデータの整理と来年度以降の調査計画の打ち合わせを進める予定。4月のサイチョウ学会で論文を投稿しないといけないので、年度内には2本まとめてしまわねば。

森林野生動物研究会大会 [学会]

県立大学で森林野生動物研究会の年次大会が開催されるので初参加。小さい学会だけど、意外と知り合いのメンバーも多いらしい。午後の公開シンポジウムでは、ツキノワグマとシカに関連する話題提供がある。今後、シカ被害が広がるであろう石川県で、この時期にこの内容のシンポジウムが開催されるのはタイムリー。

午前中は会員の研究発表会で、石川県内の研究を中心に7題。最初は新潟のノジコの話。卒業研究かな?ノジコって特定の環境条件の場所には、普通に見られる鳥だそうな。その高密度地域で個体数推定をした結果だけど、基本となる単位面積あたりの個体数情報は30年前のものを使っているので、その辺が微妙といえば微妙。

2題目は県立大学の大学院生の研究内容。もう少し前を向いて話すことができるとぐっと印象が良くなるのだけどなあ。小松のイノシシ被害の現状はよく知らなかったので、ちょっと勉強になった。

3題目は以前、里山研究会でツキノワグマの話を聞いたけど、それ以外のデータの解析内容で、今、林業試験場で行なっている自動撮影カメラの情報と比較するには、ちょうど良い。金沢周辺の里山だと普通にタヌキ、イノシシ、アナグマ、ニホンカモシカ、ハクビシン、ノウサギ、キツネが撮影されるらしい。林業試験場だとニホンザルが撮影されているので、その辺がちょっと違うな。データは昨年のものだけど今年も同じような調査を継続しているらしいので、その辺はシッカリまとめて論文化して欲しい。

4題目は、林業試験場の八神さんのクマ剥ぎ被害についての研究。10年ほど前に林業被害が出た頃の情報らしい。クマ剥ぎの実態は全然知らなかったけど、あんなに見事に食べて、スギを丸ごと枯らしてしまうらしい。

5題目は白山自然保護センターの有本さんでブナオ山の観察記録から、ツキノワグマの出現時期に与える要因を検討している。観察記録が途中で打ち切りデータに生っているのはちょっともったいないけど、比例ハザードモデルで解析していた。ブナオ山の観察記録にどのような情報が含まれているのか知らないけど、いろいろ有効活用できるものは使っていただきたいですな。

6題目は北陸三県のブナ科樹木の豊凶モニタリング調査の話。石川県だけ調査方法がちょっと異なるけど、クマ対策という目的だとこういった調査が県レベルでも行うことができるらしい。でも知りたいのは液果の情報だからなあ。

7題目は低密度になったマングースの効果的な防除方法についての研究。東南アジアでマングースがいるところは、明らかにもっと大型の肉食動物の影響を受けているだろうからなあ。それにしてもこれだけの捕獲努力をかけるといろいろな情報が得られているのだろうけど、混獲されたケナガネズミの情報などもいろいろ得られているのだろうなあ。ケナガネズミはトラップハッピーらしい。

昼食を挟んで、午後は石川県のツキノワグマの分布拡大の話と日本全国のツキノワグマの話。その後は福井県のシカの森林被害の状況とシカの生態系へのインパクトの話。ツキノワグマもシカも地元の話題と全国レベルの傾向の話と両方があってバランス的には良かったのではないだろうか。最後の梶さんはプレゼン上手いなあ。ほとんど聴衆の方を向いて話すだけではなく、適度に聴衆の方に動いたりしていた。

さすがに懇親会は遠慮して、明日のタイ行きに備える。でも2ヶ月に一度くらいはこういった形で外部の人の話を聞く機会があるといいなと再確認。

また読んでいます [日常]

地元の自然史関係の団体が発行しているニューズレターに自己紹介文を依頼されていたので、タイへ行く前に片付ける。本来は石川県に関係した内容が良いのだけど、私の研究内容を紹介する意味もあるので、サイチョウの繁殖の話と熱帯林での動物による種子散布研究を始めたきっかけについて簡単にまとめる。詳細な内容を書くには短いので、適当にまとめるのに苦労する。顔写真が必要なので、撮影しておかねば。

9日からのタイ行きの事務書類を準備して、持っていく荷物を確認していると出版関係の大学業務が舞い込む。前回は一般向けだったけど、今回は多少、専門的な内容を含んだ原稿とのこと。でもざっと一読しただけで、前回と同じようなミスが多いので、嫌になる。ほとんど編集作業の確認のようなものなので、本当は電子ファイルで確認したい。句読点の統一とか、全角と半角の統一とか、原稿を渡す前に編集者なり、代表者が確認して欲しいのだけどなあ。中身は前回読んだ原稿と近いとはいえ、本一冊なので読む時間を確保しておかねば。

別件の査読仕事はコメントをほぼまとめ終わったので、タイに行く前に送付できそう。さすがに分野が近いものは読みやすいし、コメントしやすい。多分、この種の個体数密度を推定した研究データが論文になるのは初めてなので、その価値は高いと思う。そろそろDISTANCEとか使い方をマスターしておいたほうが良いのか?

鳥も撮影されている [日常]

午前中は健康診断。大学で一斉にやるのではなく、県内で開催されている適当な場所の健康診断に参加する形式らしい。朝一番は混むと予想して、受診時間の半分を過ぎたくらいに出かける。駐車場が広くないので車を止められない可能性も考えていたけど、無事に敷地内に駐車できた。入口で受付を済ますと白山自然保護センターのスタッフの方から声をかけられる。あ、そちらも今日でしたか。

健康診断だからと今朝は食事を抜いてきたのだけど、わたしは血液検査の対象外だったらしい。きちんと健康診断の書類を読んでおくべきだった…。同じ事を去年の職場の健康診断の時にも聞いたような。40歳の時に血液検査らしいので、来年は普通にご飯を食べてよし。

昨年の健康診断のデータと比べると体重が7キロ減って、標準体重以下になった以外は、特に変化なし。特に食べる量が減っているわけでも、運動を増やしたわけでもないけど、晩御飯を食べる時間を変えただけで、こんなに変わるものだろうか。タイでも同じような時間帯に食事をしていたから、その時間が良いのか?来週、タイに行くとあっちのスタッフに痩せたなと言われるだろうなあ。まあ、元に戻っただけという話もある。朝方は涼しくなってきたので、そろそろ運動するか、自転車通勤しようかな。

林業試験場に設置している自動撮影カメラのデータをちょっろっとチェック。鳥の種名がわからないとのことで、該当写真を確認。写っていたのはトラツグミとクロツグミ?らしい個体。クロツグミは鳴き声を聞いていたけど、トラツグミは聞いていないなあ。来年は、ポイントカウントでもラインセンサスでもいいから、林業試験場内でも鳥の調査を開始して、ちょっとずつ覚えていきたい。

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トラツグミはどこにいるかな?

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クロツグミのオス?

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クロツグミのメス?