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森林野生動物研究会大会 [学会]

県立大学で森林野生動物研究会の年次大会が開催されるので初参加。小さい学会だけど、意外と知り合いのメンバーも多いらしい。午後の公開シンポジウムでは、ツキノワグマとシカに関連する話題提供がある。今後、シカ被害が広がるであろう石川県で、この時期にこの内容のシンポジウムが開催されるのはタイムリー。

午前中は会員の研究発表会で、石川県内の研究を中心に7題。最初は新潟のノジコの話。卒業研究かな?ノジコって特定の環境条件の場所には、普通に見られる鳥だそうな。その高密度地域で個体数推定をした結果だけど、基本となる単位面積あたりの個体数情報は30年前のものを使っているので、その辺が微妙といえば微妙。

2題目は県立大学の大学院生の研究内容。もう少し前を向いて話すことができるとぐっと印象が良くなるのだけどなあ。小松のイノシシ被害の現状はよく知らなかったので、ちょっと勉強になった。

3題目は以前、里山研究会でツキノワグマの話を聞いたけど、それ以外のデータの解析内容で、今、林業試験場で行なっている自動撮影カメラの情報と比較するには、ちょうど良い。金沢周辺の里山だと普通にタヌキ、イノシシ、アナグマ、ニホンカモシカ、ハクビシン、ノウサギ、キツネが撮影されるらしい。林業試験場だとニホンザルが撮影されているので、その辺がちょっと違うな。データは昨年のものだけど今年も同じような調査を継続しているらしいので、その辺はシッカリまとめて論文化して欲しい。

4題目は、林業試験場の八神さんのクマ剥ぎ被害についての研究。10年ほど前に林業被害が出た頃の情報らしい。クマ剥ぎの実態は全然知らなかったけど、あんなに見事に食べて、スギを丸ごと枯らしてしまうらしい。

5題目は白山自然保護センターの有本さんでブナオ山の観察記録から、ツキノワグマの出現時期に与える要因を検討している。観察記録が途中で打ち切りデータに生っているのはちょっともったいないけど、比例ハザードモデルで解析していた。ブナオ山の観察記録にどのような情報が含まれているのか知らないけど、いろいろ有効活用できるものは使っていただきたいですな。

6題目は北陸三県のブナ科樹木の豊凶モニタリング調査の話。石川県だけ調査方法がちょっと異なるけど、クマ対策という目的だとこういった調査が県レベルでも行うことができるらしい。でも知りたいのは液果の情報だからなあ。

7題目は低密度になったマングースの効果的な防除方法についての研究。東南アジアでマングースがいるところは、明らかにもっと大型の肉食動物の影響を受けているだろうからなあ。それにしてもこれだけの捕獲努力をかけるといろいろな情報が得られているのだろうけど、混獲されたケナガネズミの情報などもいろいろ得られているのだろうなあ。ケナガネズミはトラップハッピーらしい。

昼食を挟んで、午後は石川県のツキノワグマの分布拡大の話と日本全国のツキノワグマの話。その後は福井県のシカの森林被害の状況とシカの生態系へのインパクトの話。ツキノワグマもシカも地元の話題と全国レベルの傾向の話と両方があってバランス的には良かったのではないだろうか。最後の梶さんはプレゼン上手いなあ。ほとんど聴衆の方を向いて話すだけではなく、適度に聴衆の方に動いたりしていた。

さすがに懇親会は遠慮して、明日のタイ行きに備える。でも2ヶ月に一度くらいはこういった形で外部の人の話を聞く機会があるといいなと再確認。