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FSD2015二日目 [学会]

6時半から毎朝、バードウオッチングが行われているらしいけど、ちょっと寒いので結局、一度も参加しなかった。残念ながら、周辺はサトウキビ畑で、しかもすべて刈り終わった後で、野焼きをしている最中。それほど鳥の多様性は高くはないし、昼間に見られる鳥とそれほど変わらない。24日のエクスカーションに期待しましょう。

今朝のプレナリーはヨーロッパで種子散布研究をリードする女性研究者が二人続けて発表。最初はドイツのBöhning-Gaeseさんで、気候変動に種子散布の研究がどのように貢献できるのか、ケニアのキリマンジャロで大規模に行っている研究などの紹介。Global Ecology and Biogeographyなどに立て続けに論文を掲載しているグループの成果を紹介していた。気候変動に対する生物の反応の推定には、それぞれの移動能力に基づく部分の分散が一番大きい。だから種子散布の研究にもっとお金をかけてもよいのではないかとまで話していた。この規模のプロジェクト研究だと予算規模は年間1億円以上だろうか。アプローチとしては、S9と似ているけど、S9の一部のプロジェクトだけにそのくらいの予算をつぎ込んでいる感じ。

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会場のようす

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プレナリー1

次はスペインのTravesetさんで種子散布過程の崩壊の原因と結末に関するレビュー。読んだことのある論文がいくつも紹介されていたけど、いずれも論文中で提示されていた概念図が紹介されていた。前回、サイチョウの種子散布に関する総説を書いたときにまとめの概念図をいれなかったのは失敗だったなあ。ただ、最近のサイチョウ類の種子散布に関する研究から、PLoS ONEに掲載された論文の図が紹介されていた。

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プレナリー2

午前中のコーヒーブレイクの時間にトカゲの種子散布を研究しているスペインのValidoさんから、イチョウの甘くて苦い外種皮は、トカゲが主に種子散布している果実の形質とよく似ているので、オオトカゲを使って実験してはどうかとのコメント。ほー、あとでトカゲの総説を読み直しておこう。うう、タイならいくらでもオオトカゲなんているけど、日本でオオトカゲに給餌実験できる施設なんてあるかしらん。いしかわ動物園にはいなかったよなあ。

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ブレイク中のポスター会場

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会場のおやつ

ブレイク後は、Patterns and Processes in Frugivore-Plant InteractionsとSeed fate: Understanding seed dispersal, seed survival, and plant recruitment in a changing worldのシンポジウム。Seed fateのシンポジウムを聞きたかったのだけど、前者のシンポジウムで学生発表の審査があったので、おとなしくネットワークの話を聞く。ポスドクから、学位取得後、数年くらいの今一番、元気がありそうな若い年齢層でなかなか面白かった。最近だとDNAバーコーディングも併用で、散布した動物種を特定してSeed Disperser Effectivenessを計算するのですか。

午後の最初のプレナリーはWestcottさんで、Nature CommunicationsやGlobal Ecology and Biogeographyに掲載された論文の話がメインで、気候変動がらみの研究。朝のBöhning-Gaeseさんの話ともかなり関係する内容で、現在の種子散布研究が生物多様性の保全に関して、どのような貢献をすることができるのかという問題に対する一つの答えなのだろう。

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日本からの数少ない参加者の辻さん

夕方は前日と同様にオーストラリアのポスドクのMoranさんが主導するinteraction networkのメタアナリシスに関するワークショップ。ただ、データセットを集めるところから考えるとなかなか比較するのは難しそう。