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この夏の初ツキノワグマとニホンジカ [日常]

午前中の講義でどうも配布資料が足りないと思ったら、コピー機に20部ほど置き忘れていた。そうだった100部を超えると自動的に別のところに移動させられるのだった。普段はコピーしている段階で25部ずつわけてしまうのだけど、それをさぼったせいで、気が付かなかった。講義は5分遅れで開始したので、時間が余ると思って準備していた映像は流す時間がなかった。まあ、最初の講義時にダイジェスト版を見てもらっているのでいいか。

午後は天候が回復してきたので、哺乳類モニタリング用の自動撮影カメラの交換にでかける。ようやく展葉がおわって、木漏れ日が少なくなり、安定して写真撮影できるようになってきた。5月27日と6月3日にツキノワグマが撮影されていた。そろそろ調査地内のサクランボも熟してくるので、ウロウロしてきても不思議ではない。ただ、ツキノワグマだけではなく、ニホンジカも撮影されていた。4年目にして初のメスジカかと思ったけど、同じ日に別の場所で撮影された写真をみると短い袋角がついていた。

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ニワトコの果実がきれい

今年も運よく学内研究費が採用されたので、撮りためたインターバル撮影の結果を学生アルバイトにまとめてもらうことはできそう。今年はいろいろな植物のフェノロジーが1週間以上早いので、当初の研究計画通りにいかなかったけど、来年の卒研の予備調査としては十分なデータは採ることができた。本気で調査するなら野外個体群の調査を考えないといけないけど、修士課程まで進みたいという学生がいれば、テーマの一つとして考えることにしよう。

あっという間に1週間が過ぎ去るというのは、それなりに充実した日々といえばそんなものだけど、今週は予定していた自分の仕事はほとんど進めることができなかった。帰宅後、口頭発表用のスライドとポスターを作製するつもりだったけど、結局、いつもよりも早く寝てしまった日々が続いたので、週末は宿題を終わらせてしまわねば。

ええ、手持ちがない時には査読依頼は基本、断りませんので、遠慮なくどうぞ。ただ、月末の学会参加があるので、少しだけ締め切りを延ばしてもらって対応する。南アフリカからの帰りの飛行機で査読することになりそう。

ヒメアオキ調査はほぼ終了 [日常]

予報よりも早くに雨がおさまったので、朝から卒研調査で林業試験場へ出かける。雨上がりで涼しいくらいの天気。さすがにヒメアオキの果実はほとんど残っていないので、自動撮影カメラを利用した調査はほぼ終了。まだ果実が残っている個体はすべてアオキミタマバエの虫えいが形成されているので、食べられる可能性は低いだろう。ここ3週間ほどほとんど変化していないので、これから食べられるとは思えない。赤い果実なら、林床で熟し始めているクサイチゴの方がおいしいだろうし。林床に落下した果実もほとんど茶色く変色してしまったけど、中身の種子は死んでいないのだろうか?

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電気柵

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残っている果実

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クサイチゴ

この2週間ほどの撮影データを確認してみると、さすがに採食記録はまったくなかった。先月末にツキノワグマが一度だけ撮影されていた。今年の初ツキノワグマ。サクランボもこれから熟しだすので、林業試験場内で遭遇することもあるかもしれない。といっても、わたしはまだ一度も調査中に遭遇したことはないのですけど。下草刈りが行われない場所では、トリアシショウマが開花していた。角間ではすでにフタリシズカはほとんど花が終わっていたけど、林業試験場ではまだ開花個体も見られた。お、ウリノキもたくさん咲いている。

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午後は雨上がりの畑で草むしり。ちょっと風が強いので、ズッキーニやトマトの支柱を補強する。最初に開花したズッキーニが大きくなってきた。スイカはどうも土台のカボチャが大きくなってしまった苗が一つ。まあ、スイカは3株あるので、1つくらいカボチャになってもいいか。

マヤサンオサムシが採れた [日常]

午前中はインターンシップ関連の手続きをちょっとだけ進めて、その後は講義。来週のブナ林実習の説明もしておく。毎年のように露出が少ない服装にするように言っているけど、1回目の実習ではいまいちピンときていなくて、ブユに刺され、ようやく学習する学生が多い。でもブユって人によってはかなり痕が残るので、最初からきちんとした服装にして欲しいので、昨年度、刺された痕が残った写真を見せておく。ハッカ油買ってみようか。

午後は先週、林業試験場から回収してきたピットフォールトラップの内容物の標本作成。ピットフォールトラップを使ったのは初めてだけど、こんなにいろいろと採集できるんだ。学生一人1個のプラスチックカップを3つの林(ハンノキ、スギ、コナラ)に仕掛けたので、計60個ほどの米酢ピットフォールを1週間放置したもの。この間、雨も降らなかったし、天気も良かったからだろうか。

実習で目的とした甲虫類では、オサムシ、ハンミョウ、ゴミムシ、シデムシなどが採集された。まあ、ほとんどマヤサンオサムシとニワハンミョウなんだけど。大型のマイマイカブリやオオオサムシなど、150個体、20種を超える甲虫類が採集できた。

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大型のハネカクシとかもピットフォールで採集されるのね。ゴミムシは事前に採集した個体を専門家に同定していただき、同定ポイントをある程度、教えてもらったので、どうにか対応できた。ただ、事前にレファレンス用の標本を作製しておかないとなかなか同定することは難しい。この辺は肉眼では確認できないことが多いので、実体顕微鏡が必須だと思ったけど、デジカメで接写して確認するという技も使えそう。6時ごろまでしっかりと実習に取り組みました。来年度以降も標本を作製しておけば、後で確認もできるだろう。

クマムシ研究日誌-地上最強生物に恋して― [本]

わたしがクマムシという生物を認識したのは、学部の無脊椎動物学の講義だと思う。動物たちの地球を参考にしながら、レポートを書いた記憶が残っている。クマムシとは縁のない生活をしていたが、日本に帰国して学位論文をまとめていた頃につけたテレビから「そ・れ・は・ク・マ・ム・シ(だったと思う)」なるシュールな歌が聞こえてきたことを覚えている(むしまるQゴールドで流れていた歌だったらしい)。その後、岩波科学ライブラリーの「クマムシ?!―小さな怪物」を読みはしたけど、イロモノ生物のネタとしての興味はあったが、研究対象には考えたことはなかった。今では、実体顕微鏡くらいは使うので、研究対象として小さすぎるということはないけど…。

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よく見るとこっそり増えている。

本書では、わたしたちの身近にいて、その特殊能力についてはよく知られているけど、基礎的な生態情報はほとんど知られていないクマムシを対象として、さまざまな研究室を渡り歩き、自ら飼育システムを確立し、研究を進めてきた著者のいきざまが描かれている。フィールドの生物学シリーズでは、野外調査のハードワークが描かれているものが多い。野外でのクマムシのサンプリング自体は楽しそうだけど、調査対象の飼育システムを確立し、それを研究するだけのサンプル数を稼ぐことができるようにするまでのプロセスがすさまじい。そりゃそうだ。何を食べているのかもよくわからない生き物を飼育し、繁殖させていくのだから。しかし、健康食品?として流通しているクロレラって、よくできているものらしいということはわかった。わたしも実験室の片隅でヤマナメクジを飼育して3年目になるけど、いまだに彼らの好みはよくわからない。そうそう、国際学会での出会いって大事だと思います。

参考文献に!?というものも並んでいるけど、そんなことは気にしない。生態学会の受賞講演でも変わった文献を引用していた人いたからなあ〜。とりあえず、今週の1年生向けの講義でバッタ本と一緒に紹介する予定。とりあえず、午後にへばり付いたコケを水に浸しておいたので、明日の午前中に確認してみよう。

目次は以下のとおり。