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ケンポナシは甘い [日常]

朝一番に出張書類を提出して、その後は林業試験場でルーチンの自動撮影カメラの交換。通常なら来週の月曜日でよいのだけど、天気が怪しいし、火曜日からタイへ行くし、明日の午前中は学生の調査がメインだし、タイミング的には今日しかなかった。もう一つ、今週確認していた昨年度の卒研の種子データで同定が怪しい物がそろそろ結実しているはずなので、その確認も兼ねて森のなかをウロウロ。

初めて見たときは、クルミ科のEngelhardiaが思い浮かだけど、日本にそんなものないし、サワグルミとは随分、形が違うよなと思っていた種子はシナサワグルミPterocarya stenopteraと判明。直感は正しかったけど、日本の植物図鑑しか見なかったのが敗因。林業試験場だから植裁木も結構、普通にあるからなあ~。もう一つ、調査地内にはサンショウしかないと思っていたけど、少し離れたところにカラスザンショウの大木を発見。これなら種子トラップに入ってきていても不思議はない。周辺調査をもう少し早めにしっかりやっておくべきだったな。

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今年は去年よりも果実が目立つ気がするけど、定量的には去年と比較できない。自動撮影カメラの設置コースでフェノロジーの調査ラインを設定しておくとよいかも。結局、そういった仕事を日本ではしていないから、いまいち植物が覚えられないんだろうな。観察していないマムシグサが結構食べられている。周辺に果実が落ちていないので、鳥が食べるとこんなふうになるのかな?食べられているのがわかっていてもギャップなので、カメラを置いても誤作動が多いだろう。

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かなり減っている

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こちらはまだまだ

そろそろ結実している頃だろうと思って林業試験場内の展示館入り口にあるケンポナシを見に行く。食べたことがなかったので、落ちていたものをかじってみる。最近、ちょくちょくかじっているイチョウほどではないけど、十分に甘さを感じる。まあ、ナシといえばナシに近い味かな。人通りが多い場所だから自動撮影には不向きだけど、林内に実験的においてみるのは良いかも。

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カメラを確認していると久しぶりにニホンザルが撮影されていた。4月に撮影されているから、半年ぶりくらい。ニホンジカのオスも再び撮影されていたけど、今回はまだ若いオス。うーん、複数個体がうろちょろしているのか。

ため糞を見つけた [日常]

日中は金沢大学の角間キャンパスへ出かけて、マムシグサの自動撮影カメラの確認。一番大きな果実をつけている個体は半分以上、果実がなくなっていた。く、光条件が良すぎるから、撮影エラーになりそうだからカメラを設置しなかったのが裏目に出たか。ただ、えらくたくさん林床にも果実が散らかっているので、人間が遊んで触った可能性もありそう。設置しておけば良かった…。

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2013年10月29日の午後のようす

少しトレイルを歩いたところに設置してあるカメラには何も撮影されていなかった。随分と果実が小さいし、あんまり目立たないところにある果実だからなあ。その周辺で他に結実している3個体から撮影しやすそうな個体を選んでカメラを追加で設置。林業試験場と角間で4個体ずつ継続観察する体制には持ち込めたけど、雪が降るまでの残り1ヶ月ほどの期間で、どの程度が持ち去られるのだろうか?林業試験場よりはアクセスしやすいけど、雪が降ってからまで調査するのは大変だしなあ。

竹林の中で大量のカキの種子を発見。タヌキかアナグマかどちらかわからないけど、どう見てもため糞。非常に新しい糞もあるので定期的に観察しても良いかも。目印にペグを立てて、メモしておく。残念ながらギンナンは入っていない。角間でもイチョウは結実しているそうなので、カメラを置けないか、一度見に行ってみよう。

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ため糞

共著論文が出版されました。これで私も霊長類学者の仲間入りか?本当は10年くらい前にカオヤイのデータで霊長類学者の仲間入りをしていてもおかしくないのだけど…。

Tsuji, Y., Nguyen Van Minh, Kitamura, S., Nguyen Huu Van & Hamada, Y. (2013) Seed dispersal by wild rhesus macaque (Macaca mulatta) in Son Tra Nature Reserve, central Vietnam: a preliminary report. Vietnamese Journal of Primatology 2:65-73.

私がお手伝いしたのは、糞内容分析で回収された種子の同定。と言っても見つかった種子の半分くらいしか同定できていません。行ったこともない場所の種子だけ見ても、ある程度の自信を持って同定できるのは属レベルまで。同時に採集された標本がないと種まで落とすのは無理。ただ、追加情報を集めるのが難しいからと情報を野帳に埋もれたままにしておかず、論文化してしまうのは素晴らしい。

しかし、もう10月も終わってしまうのか。想定よりも昨年度の卒論を修正する作業に時間がかかりすぎているなあ。明日は種子トラップの種子データをもう一度全部見なおして、同定の確認とデータの入力ミスがないかチェックしたい。でも土曜日の出張講義の準備もしておかねば。

食べる鳥がいるらしい [日常]

午前中は印刷した止まり木関係の論文を読み込む。私が全然知らなかっただけで、1980年代に温帯林を対象とした研究もいくつか見つかった。最近のものは荒廃した熱帯林の回復を目的としたものが多く、Restoration Ecologyによく掲載されているようす。ただし、日本で種子散布量を増加させる目的で使われるとまり木よりは随分と大きく2mとかあるサイズのものが使われている。

午後は林業試験場内で調査地として利用させていただいているスギ人工林で間伐作業が入るので、その打ち合わせ。去年の種子トラップの位置をマークしたペグはそのまま残しておいてもらうことにする。間伐作業の前後で種子加入量を比較したら、卒論にはできるかな。ただ、去年のデータは止まり木にはほとんど意味が無いという結論だったので、少なくともイミテーションの果実を設置するなどして、調査方法を改善する必要はありそう。

その後はイチョウの調査を手伝いながら、マムシグサに設置してみた自動撮影カメラの確認。既に倒れているものもあるけど、特にネズミに齧られたりはしていないようす。直射日光に当たる場所も意外とエラーが少なく作動中。常に明るい環境なら、それなりにきちんと稼働するのだろうか?最初の2箇所は果実がなくなっていないので、写真を確認するまでもなく何も撮影されていなかった。ただ、夜中にアカネズミが近くを通過していた。

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まだまだ食べられていない

最後の個体でちょっと果実が減ったかも?と思って確認してみると鳥が偽茎に止まって果実を眺めている瞬間が撮影されて、その後、果実をくわえている瞬間も撮影されていた。てっきりヒヨドリとか、定住している連中が食べるのかと思っていたけど、こんな鳥が食べに来ているのか。まあ、普段から定住している鳥が食べるのであれば、もっと早くから食べられるか。まだバッテリーもデータ容量も余裕があったので、もうしばらく継続してから回収する予定。

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ちょっと食べられた

調査中にスッポンタケを発見。去年とは全く異なる場所で確認した。幼菌もあったので、明日も大きく伸びるのではないかな。ハエが来ている瞬間を撮影したかったのだけど、逃げられてしまった…。

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明日の午前中は講義を2コマこなして、午後は角間のマムシグサの自動撮影カメラのチェック。林業試験場よりは、角間のほうが食べられやすい気がするのだけどな。

カモシカの付着散布 [日常]

朝一番に大学院の講義をこなして、その後は週末のメールの返信など。調査で使わせていただいている林業試験場は今年度末にかけて間伐が入るらしい。どうせなら、間伐前後で何か動物の行動パターンなどに変化が出るのかとか、間伐に絡めたテーマの卒業研究があってもよいかな。

昼食時間帯に8月に開催されたオープンキャンパスで展示していた研究室ポスターの表彰式に参加。基本、学生に作ってもらったけど、なかなかわかりやすくできていたと思います。研究内容を詳細に紹介するよりも、わかりやすさを重視した点が良かったのではないかな。

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午後はルーチンの自動撮影カメラの確認作業とイチョウの調査。定点観測しているカメラにはニホンジカは撮影されていなかったけど、イチョウのカメラに立派なオスジカが通過しているところが撮影されていた。定点ポイントだけでは見逃している個体もあるんだなあ。林業試験場内のマムシグサも熟してきたので、次回の調査時にカメラを設置することにしよう。

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今日は林内を歩いている時にカモシカ親子にかなり接近してしまった。あまり前をよく見ずに登山道を登っていたら、折り返したところにいてちとびっくり。ただ、人馴れしている個体なので、あちらも適度な距離があれば特に逃げ出したりはしない。メス親の顔に緑色の物体が見えたので、近寄ってみるとヌスビトハギだった。よく見ると他にもノブキなどの付着散布植物の種子が体中についていた。これって、どこで落ちるのだろうか?木の幹にでもこすりつけるのかな?

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夕方に来年度の卒研生の一人と面談。今すぐに研究テーマを決める必要はないけど、就活が始まるまでにはどんなことをやりたいのかを決めて欲しい。

カメラをおいてみた [日常]

朝は随分と冷え込んだ。天気は良さそうで、白山がよく見える。朝一番にNLの編集仕事を終わらせて、その後は角間の里山へ。夏に個体識別しておいたマムシグサの果実の結実状況の確認。そろそろ熟していてもおかしくはないので、自動撮影カメラも3台準備して出かける。

随分と森林管理作業が入ったようで、調査地の入口付近はきれいに下草が刈りとられていた。マムシグサは一緒に刈り取られてしまったらしく、果序が一つ落ちていた。赤くはなっているけど、ちょっと果実が小さい感じ。一番立派な個体は調査するには良さそうな色づきになってきていたけど、こいつは直射日光が当たる環境なので、カメラを置くのは難しそう。

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その後も調査トレイル沿いを歩きながら結実状況を確認。台風の影響なのか、倒木が結構あるし、完全にトレイルを塞ぐような形で倒れているものもある。マムシグサも結構倒れてしまっているものや、完全に消えてしまっているものもある。お、まだ樹液酒場にはクワガタがいるけど、さすがに動きが鈍い。結局、熟しはじめていたのは2個体にカメラを置いてみたけど、どうなることやら。もうちょっと広い範囲で探してみたほうが良さそう。

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午後は文献複写で届いた論文から、調査努力量と撮影種数などの情報を抜き出す作業。少なくとも自動撮影カメラを利用して哺乳類相を調査した研究は30報くらいある。大部分が地方博物館や大学の紀要などに掲載されている情報だけど、最近はPDF化されているものも多いので、結構、集めることができた。うーん、去年の段階でここまで仕上げたかったところ。

まだまだ落ちている [日常]

午前中はイチョウの調査。前回の調査でかなり落下してしまったと思ったのだけど、まだ追加で落ちてきている。お、種子もしっかりなくなっている。わたしは自動撮影カメラを確認したけど、先日の強風の影響でかなり電池がなくなっている。今週も水曜日頃に台風の影響を受けそうなので、早めにカメラを交換しておいたほうがよいかも。今日は天気が良いので家族連れが多い。

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外側はいらないらしい

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ちょっとだけ持ち去られた

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ツルニンジン

午後は出雲駅伝を見て、その後は先週末から空き時間に進めていた自動撮影データの入力確認作業。うーん、わたしも一度は確認しているはずなのだけど、やはりデータを少しさわってみるとイロイロと気がつくな。調査地の地図も手に入れたので、自動撮影カメラの位置をプロット。実際にプロットしてみるとカメラがかなり近い距離に設定されていることがよくわかる。一番近いのは100mくらいしか離れていないけど、結構撮影されている種数は異なるので、設置場所の効果がかなり重要。下草刈りの影響は検討しべきかどうしたものか。

結局、データは全て再解析した方が良さそうだということはわかった。ついでに図として論文中に組み込むかどうかは別として、rarefaction curveくらいは書いてみよう。Rのveganパッケージでもできるようだけど、とりあえず使い慣れているEstimateSを大学のパソコンにインストールしよう。卒研生にはRの方がよいかも。ただ、解説が英語なので、ちょっと時間がかかるかな。

たくさん落ちてきた [日常]

本当は金曜日の午前中に出かけるつもりだったけど、昨日の強風でギンナンがかなり落下した可能性が高いので、予定を早めて調査に出かける。昨日の強風の影響でスギの落葉も多い。去年も同じような強い風の時には、シードトラップの中身が飛び去って大変だったっけ。朝一番に誰かクリ拾いをしたらしく、いつも車を停める場所には中身の無いイガばかりだった。

イチョウの周辺では、火曜日とは比べ物にならない量が落ちていた。一番多い木では2,500個ほど落ちていた。全部にマーキングするのは無理だし、まだ全部落ちきっているわけではないので、とりあえず10個ずつの山にしてみた。これがなくなるまでにどのくらいの時間がかかるのかは、定期的に数えて見る予定。

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調査中、ヤマナメクジとマダラカマドウマを発見。ヤマナメクジはお食事中。マダラカマドウマのメスはパンパンのお腹をしていた。イチョウの根元の隙間には別個体がいたので、ここに住んでいるのかも。昨日は雨だったけど大した量ではなかったので、キノコはそれほどかわりなし。

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林業試験場のマムシグサが色づいてきた。直射日光が当たる環境なので、自動撮影カメラはどうしたものかと思うけど、ポイント的には調査しやすい場所なので、一度おいてみるかな。

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午後は自動撮影カメラ関係の日本語文献の取り寄せ作業。地方の博物館とか研究会の雑誌に掲載されているものでもかなりPDF化されているので、それほど多くはないけど、数報は取り寄せるしかなさそう。うーん、まだまだ論文検索が甘いなあ。今年度の卒研ではもっちょっとしっかり論文を読んでもらうことにしよう。国内で自動撮影カメラを使って哺乳類相を調査した研究は、随分とあるけど、タイでやったみたいにデータ共有して、なにかやれないだろうか?

来月のタイ調査の日程を確定させる。11月5日から10日間ほどでかける予定。

秋らしくなってきた [日常]

午前中はルーチンの自動撮影カメラの交換作業。前回はオスジカが撮影されていたけど今回はなし。今のところは秋の移動中にたまたま撮影される程度なのだろうか?去年は夏に一度だけ撮影されたニホンザルが今年は撮影されていない。2年継続してみるとこんなに狭い範囲でも随分とパターンが変わってきそう。

林床で咲いている草本が随分と秋らしくなってきた。ノブキの種子散布はそろそろ終わりかけ。かなり粘着質の種子。モミジバハグマも花序の半分くらいが咲き終わっている。ミズヒキもそろそろ終わりかけかな。ハクウンボクの種子がかなり落ちているけど、誰か食べたりするのだろうか?ちょっと木漏れ日が多く差し込む環境なので、自動撮影カメラを置くのは難しそう。

キノコも増えてきたので、去年、撮影したカニノツメやスッポンタケを探してみたけど、今年はまだでていなかった。毎年、同じ場所にでるもんでもないのかな?

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ミゾソバ

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アキチョウジ

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アキギリ

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コアオハナグムリ

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モリアオガエル

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キノコも増えてきた

午後に三上さんのスズメ本が届いた。クイズはかなり悩んだけど、鳥屋さんならすっと解答が導き出せるのかもしれない。執筆の原動力となった話もなかなか面白かった。うちの職場はいろいろな隙間をうまく使ってスズメが営巣しているので、来年度のポケゼミでは鳥をやりたいグループがあれば、スズメを中心に据えたチームをひとつ作っても良いかもしれない。

積み残しの宿題を片付ける [日常]

朝一番は学年担任としての大学業務で学生たちの前期の大学生活の振り返り活動に参加。わたしはまだ2年目なのでよくわからないのだけど、今年は例年よりも真面目な学生が多いらしい。必修科目だから出席率は高めだとは思うけど、後期の1コマ目に9割以上の学生が出席しているのか。自分が学生の頃とはえらい違いだな。

その後は昨年度の卒業研究を読み直す。さすがに半年経つと冷静に文章を眺めることができる。継続調査をする学生はいなかったし、来年度もどんな研究テーマになるかわからないので、とりあえずこのままのデータで論文化してしまうつもり。卒業研究としては、収集したデータをすべて掲載する方向でイロイロやってもらったけど、投稿論文となると不必要なところはバッサリ削ってしまったほうが良さそう。

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ミニトマトの種子

午後は研究室セミナー。これから本格調査が始まるイチョウの種子散布に関する研究についての経過発表。予備調査の結果や現在の調査内容を説明したプレゼンはよく整理できていたけど、イントロはまだまだ改良の余地あり。

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大学農場でも観察中。なにか食べに来るかな?

来週は一度、角間に出かけてマムシグサに自動撮影カメラを設置する予定。こちらの調査地では5個体くらいになりそうかな。でも結構倒れたりするので、もっと個体数は少なくなるかも。林業試験場のマムシグサにも早めに設置して、赤くなる前から調査しておくかな。