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ネコからのプレゼント [日常]

朝一番の講義を終えて、その後は林業試験場で開始したイチョウの種子消費者の調査へ。昨年は10月中旬から開始したので少し時期的には早いのだけど、先週、風が強かった時にかなり落下していたので、先週末から調査を開始している。ただ、今のところは設置した種子に変化はない。昨年は予備調査ということもあり、2本しか調査していなかった。今年は4本に増やしたので、もう少し説得力のあるデータになると良いのだけど。

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独特の匂い

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マムシグサはもう少し

調査後は受理済みの論文の修正作業。Tropical Conservation Scienceのニクズク科特集号はようやく最終の編集作業になった。雑誌側の英文校閲が入って、微妙な修正に関して、確認作業をするようにとの連絡。Despite that~と書いてあるところがAlthough~に修正されていたり、major consumers for Myristicaceaeのforがofに修正されていたりするけど、正直違いがよくわからん。まあ、雑誌側の校閲なので、素直に従って、サクサク確認していく。Seed-predating rodentとしていた文章が、seed-eating rodentに修正されている。確かにこの文章なら、eatingの方が適切か。

夕方、ネコに捕獲されたヤブサメの死体が持ち込まれた。金沢市内の住宅地なので、渡り途中の個体だろうか。ネコに捕獲されたといってもピンポイントで捕獲場所が確定できているので、標本情報としては問題なさそう。知り合いに引き取っていただけそうなので、採集者情報などを記入したラベルを付けて明日にでも送付予定。

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ヤブサメ

夜にシーサンパンナのCorlettさんからシンガポール大学にいた頃の学生の研究の論文PDFが送付されてきた。この間ダウンロードしたけどまだ読んでいない論文なので、早めに目を通すことにしよう。カリマンタンの泥炭地はメガライスプロジェクトでかなり開発されたのだけど、途中で放棄されてしまった場所が多い。かなり広大な面積を開拓しているので、周辺の森林からも距離がかなり離れている。エルニーニョ時に泥炭が燃えているので、埋土種子からの更新は期待できないので、基本、種子散布による更新が必要。

夏期集中講義で作成した植物標本や昆虫標本がほぼ仕上がったので、採点作業に取り掛からねば。

The Ornaments of Life: Coevolution and Conservation in the Tropics [本]

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鳥学会シンポジウムでの講演を引き受けた際、送粉系の論文はあまり読んだことがないからと思い、まず注文したのがこの本。結局、鳥学会のシンポジウムまでに届かなかったので紹介できなかった。今日になって届いたので、これから読み進めて、今年度中に投稿する総説には、その内容を反映させたい。内容的には、12月の霊長類研究所での集中講義にも活用できそう。Corlettさんの本は既に邦訳がでたので、あえて紹介する必要もない気がする。

著者のTed Flemingさんにお会いしたのは、2004年のシーサンパンナでのシンポジウムに参加した時で、2005年のOIKOSに掲載された新熱帯と旧熱帯の送粉系と種子散布系を比較した研究の話題提供だった。今回の本の内容の一部については、FSD2010の特集号として2011年に総説が掲載されているので、そちらをざっと読みなおしてから、読み進める予定。残念なのは掲載されているオオサイチョウの写真。飼育個体だろうけど、あまりカスクの状態がよくなさそう。

明日から後期の講義がスタート。

セイタカアワダチソウはそろそろか [日常]

継続観察中の調整池では、セイタカアワダチソウが大きくなって、花序が黄色くなってきた。来週には開花するかな。今朝は曇り空なので、まだアキノノゲシが開花してこない。その他、ヨモギなども開花してきた。ツユクサがたくさん咲いているけど、今日は訪花昆虫をあまり見かけない。気温がちょっと低いか。

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一面のセイタカアワダチソウ

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セイタカアワダチソウの花序

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コカマキリ

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ミクリもまだある

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アカバナは開花前

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クズはすっかり果実

午後は某所にて、とある植物の探索。無事に開花個体を発見することができた。タイではこの仲間を何度も見たことがあるのだけど、随分と大きさが違うのでピンとこない。ただ、拡大するとよくにている。

フィールドの生物学シリーズ11巻 [本]

午前中に先週から返信が遅れていたメールに対応。その後は査読とか集中講義の採点業務とかから現実逃避してしまい、読みかけのまま放置していたオランウータン本を読む。

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フィールドの生物学シリーズ11巻
野生のオランウータンを追いかけて―マレーシアに生きる世界最大の樹上生活者
著者 金森朝子
体裁 B6判 220頁 並製本
定価 2100円(税込)
出版社: 東海大学出版会
刊行 2013/08
ISBN-13: 978-4486019916

著者には研究会などで何度かお会いしたことがあるし、論文も読んではいたけど、オランウータンの研究に辿り着くまでの紆余曲折は知らなかったので、ちょっと新鮮だった。カオヤイにいた頃に丸橋さん経由でニホンザルと比べるとオランウータンの研究は活動的な時間や個体間交渉を見る機会に限られるので大変だと聞いていた。さらにダナムバレーで林冠を動く黒い塊にしか見えないオランウータンと出会い、やはり単に見るだけならともかく、調査対象として選択するのは大変そうだと実感していたので、長期間の観察に裏打ちされた本書の内容は貴重。

帯にも書かれているように少なくともボルネオのオランウータンは、毎日、ドリアンのような美味しい果実ばかり食べる生活をしているわけではない。3年間の調査期間中、一斉開花年と非一斉開花年を両方経験できたのは、研究者としての運の強さだろう。デジタル双眼鏡って一度使ってみたい気になって、金額を調べてみたら、ちょっと消耗品としては難しそう。ただ、サイチョウを観察している時にもこのタイミングで写真を撮れたらなあと思ったことは何度もあるので、一度、どこかで使ってみたいなあ。

本文中でも触れられているがオランウータンのように研究データを収集するのが難しい調査対象では、調査手法を標準化して、調査地間の比較を促進する取り組みが必要不可欠。その点、霊長類では進んでいるけど、サイチョウ類でも同じような取り組みができないものだろうか。もう少し調査手法を統一できれば、比較可能な情報が増えると思うのだけどなかなかそうなっていないのが現実。

書評はそのうち熱帯生態学会NLにも掲載される予定。

1年生向け実習初日 [日常]

朝は能登島実習の後始末でデジカメ写真の整理。実習の記録用に学生たちにデジタルカメラを持たせたのだけど、実習と全く関係ない写真をいくつもとってあるなあ。ただ、一枚一枚処理するのは面倒なので、とりあえず全部まとめて縮小して、ファイルサイズを小さくする。

日中は去年も参加した1年生向け実習に同行。わたしは担当ではないのだけど、市ノ瀬の植物の開花・結実状況を知りたくておまけで実習に同行。コースは去年と全く同じで大学を9時に出発して、主に白山砂防科学館、市之瀬ビジターセンター、手取川ダムの3箇所を見学するツアー。本当は途中で手取渓谷を見学する予定だったけど、入口を間違えてしまい、今回はパス。個人的には、あそこのツリフネソウをじっくり見たかったのだけど、仕方がない。

最初の砂防科学館で予定よりも長く時間を過ごすことになったので、周辺の植物を観察。ついでに白山国立公園センターにも入って哺乳類の標本展示を見学。こっちも見学するコースにしても良いのではないかな?その後は科学館内の3Dシアターで見た百万貫岩の実物見学。一人学生が石の上で足を滑らせて、転げ落ちたので焦る。どーして、こんな場所で転ぶ?どうもバランス感覚に難がある学生が多すぎる。普段、不整地などを歩く経験がないのだろう。百万貫岩のところでアキグミが大量に結実していた。つまんでみたら、そこそこ甘かった。道路際でアケビの種子を大量に含んだテンの糞らしきものを発見。

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アキグミ

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テンの糞

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百万貫岩

その後、市ノ瀬ビジターセンターに移動して昼食。空に白いものがたくさん待っていると思ったら、ドロノキが種子散布する時期らしい。青空に白い綿毛が飛んでいる様子はなかなか美しい。昼食後に4班に分かれて、ビジターセンター周辺を散策。わたしが引率した班はたまたまビジターセンター周辺をのんびりと歩くコースだったので、ほとんど高低差のない非常に楽なコースでした。去年は途中で雨に降られたけど、今日は晴れて良い天気でした。

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アキノキリンソウ

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ドロノキの果実

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マムシグサはまだ若い

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アケビの果実

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ツリフネソウの果実に触れてみる

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オヤマボクチに訪花するトラマルハナバチ?

最後は手取川ダムの見学。去年とは随分と施設内がスッキリとした感じがする。

先日、鳥学会で話した内容は和文でまとめることになりそう。3月締め切りだけど、卒研対応を考えると早めにまとめてしまいたい。総説としてまとめるとなるとちょっとまじめに文献検索する必要があるだろう。

明日から通常業務に復帰。まずは査読仕事とNLの編集作業をすすめておこう。

能登島丸かじり三日目 [日常]

4時に起床して、車で漁港へ移動するつもりが、エンジン警告灯が点灯。どーして、このタイミングで生じるかなあ。何度かエンジンをかけ直したけど、復帰しないので、わたしの車に乗る予定だった学生を他の車に乗せる。気温差が激しいとダメなのか?結局、宿の周辺でノロノロ運転したり、エンジンをかけ直したりした結果、6時頃には何故かエンジン警告灯が消灯。翌日には車検を予定していたけど、これから冬場が心配だ。

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夜明け

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朝ごはんはシンプル

午前中は班ごとにこれまでの実習のテーマに合わせて、模造紙に内容をまとめる作業。昨夜は結局、どの班もまとめる仕事はやらずに今日の午前中に集中して作業する方向へ流れてしまったので、サクサクやらないと時間が足りなくなりそうだとは思っていたけど、その辺はあまり口を出さずに放置。こういった作業は一度、経験していると随分と違うし、誰かがリーダーシップをとるとサクサク進むこともある。ボルネオジャングルスクールを思い出すなあ。

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メダカ

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作業中

昼食は学生が作るはずだったけど、時間が間に合わないのでスタッフでおにぎり作成。今朝、漁港で購入してきたカマスの焼き物やお手伝いに来ていただいた方からの漬物など、なかなか豪勢な昼食になった。

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会場

その後は班ごとに短い発表を終えて、実習を終了。とにかく怪我なく終えることができて良かったけど、学生たちは何を学ぶことができたのかは今後の課題。予定通りの時間で大学に戻り、荷物の後片付けとヤマナメクジの世話などをして帰宅。さすがに疲れた。

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能登島丸かじり二日目 [日常]

6時に起床して、宿の近くの海の周辺を散策。イトマキヒトデなどがいたけど、夜にライトを付けて歩いてみればよかったかな。洗面所が一つしかないのは、参加学生に女性が多い場合に制限要因になるので、民宿を選ぶ際にそういった点も考慮しておく必要がある。

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アオサギ

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向田漁港

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イトマキヒトデ

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朝食も焼き魚

午前中は農地の土壌調査と稲刈り体験。土壌調査はドロドロのハス田でちょっとだけ泥を採集して、薬品で還元具合を確認する作業。その後は稲刈りと稲架掛け体験。わたしが歩くのが早いとはいえ、トロトロ歩いとるなあ。

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ハス田

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真っ黒な土

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コナギ

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ツリガネニンジン

多分、鎌をほとんど使ったことがない人が多く、やたらと力を込めて稲刈りしていた。そんなに力はいらんのだけどなあ。1時間ほど稲刈り体験して、その後は刈り取った稲を稲架掛けする作業までやって午前中は終了。

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稲刈り体験

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ため池はヒシだらけ

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稲架掛け

午後はバスで長崎地区へ移動して、タイドプールの生物相の調査。1時間ほど植物と動物を集めてもらう。その後は図鑑を使っての同定作業、味見、標本作製など。水路の生物よりも海の生物のほうが同定が難しいと思うのだけど、プロがいることできちんと同定できるのは良いですな。もっとも海の生物の場合は、自分で確実に判別できるものしか採集していないからというのもある。

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海を見ながら昼食

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こんなかんじのタイドプール

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ホンヤドカリ

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アラレタマキビ

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何が捕れるかな

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今日の採集品

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海草・海藻標本の作成

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供給サービスを満喫する

その後は温泉で汗を流して、夕食。今夜は少し豪華に舟盛り付き。明日は早朝から漁港で荷揚げの見学の予定。

能登島丸かじり初日 [日常]

昨日までの天気がウソのような好天。早めに大学にでかけて、調査用具を車に積み込む。7時45分の集合時間にみなさん間に合った様子。予定通り8時に大学を出発して、途中、金沢駅集合の学生を拾って能登島へ移動。私たちスタッフは自家用車でそれぞれ移動。わたしは海環から内灘経由でのと里山海道に向かったけど、高速までが結構時間がかかる。途中、普段の調査用具を一式忘れていることに気がついた。双眼鏡とか剪定バサミとか。

途中で遅めの朝ごはんを済ませて、能登島の集合地点へ移動。ほぼ時間通りに到着したけど、バスは少し遅れるらしい。まずはイントロということで、各自にデジカメを渡して、今回の滞在場所である向田地区を歩きまわる。島外の人から見た時に面白いと感じたものをデジカメで撮影してもらい、夕方のインタビューに役立てる。最初は道路際を歩いていたので、花や実がある植物を適宜、説明していたけど、去年の生物分類学でも見せて教えたつもりだけど、覚えていないなあ。

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ツルリンドウ

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ゴンズイ

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アカメガシワ

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イチジク

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ゲンノショウコ

昼食後は稲刈り前の田んぼの横の水路で水生生物調査。県立大学の3年生は春に実習で既にやっている内容なので、あまり時間がかからないかと思ったけど、想定以上に時間がとられる。1箇所にそんなに時間がかかるかな?ただ、1班4-5人だと作業内容を少し減らしたほうが良いのかもしれない。しかも今回はわたしが下見で調査できていないので、何が捕れるのかよくわかっていないのも問題。ただ、水路や田んぼの中にメダカが泳いでいるところは見てもらえたかな。シマヘビを捕獲して、ちょっと触ってもらったりもする。

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調査した水路

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メダカの学校

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夕方は地元の人を囲んでのインタビュー。その間にわたしは調査用具を後片付けして、収納する準備。とりあえずわたしのメインの仕事は無事に終了。ただ、調査項目や事前配布した資料などについては、来年度以降も同じ調査を考えるのであれば、修正したほうが良さそう。

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夕食は焼いたカマスとイカの刺身

その後はしばらくデータ整理の時間をとった後は、12時頃までいろいろな話をして過ごしたけど、学生たちにはどんな風に伝わったのやら。

米原でトラップされた [日常]

さすがに台風が心配だったので早めに起床してニュースを確認。うーん、いろいろ止まっているなあ。予定よりも早めに名古屋駅へ移動したけど、新幹線は動いていないらしい。それならのんびりとホテルで朝食を食べて来るべきだった。そこから新幹線が動き出すまで待合室で過ごす。その間もかなり激しい雨や風。ただ、この時には、北陸線が止まっているとは知らずにいた。だって、電光掲示板はこんなかんじだったし。

その後、新幹線が少しずつ動きだしたので、とりあえず米原まで移動。うーん、今日は10時前には自宅に到着して、午後には明日からの実習の準備をするつもりだったのだけどなあ。途中、ある程度大きな川では、増水して警戒している様子が見えた。

米原に到着後はひたすら在来線が復旧するのを待つ。どうも始発から動いていないらしい。既に夕方まで特急は運転中止になっていたので、夜までに帰ることができるのか怪しい状況。ぼーっとしていてもしかたがないので、近くのスーパーのフードコートへ移動して、NHKのニュースを見ながら、状況把握。まだまだ時間がありそうだったので、帰りの電車の中で読むつもりだった査読仕事に取り組み、疲れたら床屋で散髪。

夕方になって高速道路が復旧したとの情報が入ってきたので、家族に車で迎えに来てもらう。ただ、こちらも渋滞していたので、在来線が動き出した段階で、敦賀まで移動して、ここで合流。結局、自宅に辿り着いたのは9時半頃だった。それでも電車を待っているよりは随分と早かったので助かった。

OSJ2013シンポジウム [学会]

鳥学会のシンポジウムで話題提供するために朝から名古屋へ移動。本当は午前中に受賞講演があったけど、そちらに参加するのは許してもらって、懇親会後のお祝いに参加することにする。今日はちょっとリッチに米原で新幹線に乗り換えて名古屋へ。台風の雨が心配だったけど、無事に会場の名城大学に到着。さすが私学は立派ですなあ。

会場で受付を済ませて、遅めの昼食を済ませる。その後、ポスター発表を見に行ったら、一番見たかったドバトの種子散布の可能性という高校生ポスターがなくて残念。他に種子散布関係のポスターはなさそうだったので、会場をうろちょろしていると、何故か鳥学会に来ているOさんを見つけて話を聞く。鳥の観察記録をデータベース化する作業はどうにかして欲しいところです。ついでに花や果実の採餌記録もあるといいのだけどなあ。

その後はプレゼンの練習をしてシンポジウムまでの時間を過ごす。あまり余計なことを話している時間はなさそう。もう少し内容を減らすことも考えたけど、この構成で練習してきたので、カケスの種子散布の生態系サービスを定量的に評価した研究を中心に据えて紹介することにする。でもこれ2006年の研究なんだよね。

総会がかなり白熱していたようだけど、3時15分の予定通りにシンポジウムはスタート。最初にオーガナイザーの日野さんから生態系サービスに関する基本的な話題提供と今回の演者の発表内容に紹介。その後はわたしが調節サービスとして花粉媒介と種子散布、風間さんがカワウの調節サービスと供給サービスの話、遠藤さんはカワウを利用した環境教育、出口さんは夏鳥の渡り時期と繁殖時期の長期変化、大迫さんがコウノトリ野生復帰計画の現状について、それぞれ文化的サービスの視点からの話題提供を行った。

わたし以外は自分の研究を中心にした話題提供だったけど、サイチョウの種子散布の生態系サービスを定量化するのは難しいからなあ。紹介したカケスの場合は、人間が関わってきた都市公園だからこそ、ドングリの播種や苗木の植樹などのコストを計算できるし、年間の観光客が100万人を超えるような場所なので、コスト計算しても意味がありそう。ただ、懇親会の時に感想を聞いた限りでは、紹介した論文もそれなりにインパクトがあったようでよかった。

個人的に興味深かったのは、鳥のように一般ウケしやすい生物を研究対象としている点を鳥学者の人たちはあまり自覚できてはいないのではないだろうかと感じた点。総合討論では、あまり時間がなかったものの、もっと生態系サービスを定量化することに関して、否定的な意見が出されるかとも思ったけど、時間がなかったからかな?あと花粉媒介の仕事は、一番面白い種子散布のところまで紹介しておくべきだったかと反省。どうしてあの研究がScienceに掲載されたのか伝わらなかったみたい。

シンポジウム後は上田研のメンバーを中心に情報交換。すごく久しぶりに大学の同級生とも情報交換。まあ、どんな場所でもイロイロと苦労は多い様子。わたしの同学年では、3回生の頃に生態学実習を受講した人は、例年の半分程度の人数しかいなかったのだけど、当時のメンバーの大部分が今でも元気に研究者として頑張っている。当時はその中からわたしを含めて3人も鳥関係の仕事をすることになるとは思いませんでしたけど。

懇親会終了後には台風はかなり近づいてきてはいたものの、小雨で風もそれほど強くはなかった。その後は三上さんの受賞記念パーティーに参加。結局、70名ほどの参加者がいたらしい。すごいですなあ。プレゼントは壺のような巣箱で、わざわざイギリスから持ち帰ったらしい。終電ギリギリでホテルに帰って就寝。